坂道 短編集 part3

あ、キスしちゃった 渡邉理佐 ページ21

あなた 櫻坂1期生
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あなたside


私が密かに想いを寄せる人を家に送るため一緒にこの道を歩く


何度一緒に歩いただろうか



隣を見ると綺麗な横顔


満月の光で理佐の笑顔が光っている


理佐、今夜は月が綺麗ですね



理佐「─でね〜」


月のせいなのか、それともただ単に理佐に見とれていただけなのか何故かはわからないけどとても人恋しかった


理佐「ねえー、A聞いてる？」


そう言って覗きこんできたことをいいことに肩を抱き理佐の唇を盗んだ



あ、キスしちゃった



風が吹き抜けて辺りがし〜んと静まった気がした

理佐は悲しみ、軽蔑、驚き、どれとでも取れる表情を浮かべていた


そんな顔させてごめん

驚かせてごめん


私たちの間に流れる空気は重苦しくただただ気まずい


目を大きく見開いている理佐を前に言い訳をするのは見苦しい


いや、元々この瞬間を狙っていたんだ


遠回しの行動じゃなくて正直に『好き』と言えばよかった


傷つきたくなくて、嫌われたくなくて、この空気になるのが怖かっただけ


わかってたんだけどなあ

しなきゃ良かった


なんて反省してしまう


これからどうしよう

私はどんな顔すればいい？


何も言わずに歩き出そうかな


本当は確信犯だった

だけど焦って身勝手な行動を取ってしまった


今更カッコつけても無駄だよね


恋人になれるかな？



どうしよう、何か言わなくちゃ


このまま黙っていてはいけない

しかしこのロマンティックな雰囲気に呑まれてしまい言葉が出ない


そんな中先に言葉を発したのは理佐だった


理佐「A？」


「っ、ごめん」



反省するくらいならあのまま素直に送っていれば良かった


キスなんかしなきゃ良かった



「…帰ろっか」



理佐を置いて歩き始める



理佐「まって、！」



理佐にぎゅっと袖を掴まれる


理佐「謝って欲しいんじゃなくて！

さっきの、なんのキス、？」


「…」


理佐「教えて」


「好きなの、理佐のことが、」



理佐の真っ直ぐな視線と次に発される言葉が怖くて私は言葉を続ける



「うそだよ、冗談冗談忘れて」



声が震えてないか、胸の鼓動が聞こえてないか不安になる


私が俯くと直ぐに顔をあげられて目の前が理佐で埋め尽くされる

そして感じる柔らかな感触と温度



理佐「私は本気で好き」


「え、？」


理佐「Aは？そうじゃないの？」


「っ、好き」


理佐「ふふっ、じゃあ付き合おっか」


「うん、！」


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なんじゃこりゃ

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