漆黒と純白【黄橙赤】 (ページ5)

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愛してるかと聞かれれば迷うことなく首肯く。

だけど、好きかと聞かれたらとまどってしまう。

バイト帰りに立ち寄ったコンビニに、成人誌を立ち読みしている長身で芽体のいい男を見つけた。

緩いパーマを耳にかけて、優しそうな顔をして。

その成人誌は同性愛者用の雑誌で、表紙もえげつない男性の写真だった。

彼は左手に携帯を握りしめていて、右手でページをめくりながら、時々後頭部をかきむしっていた。
携帯は今時珍しいガラケー。

俺があまりにも見ていることに気づいてしまったのかさっと角度を変えて俺を遠ざけようとした。

出来てへんって。

その時携帯がなり響いて、着メロが「空と君との間に」で、

しかも二番スタートだった。

君の心がわかる、とたやすく誓える男になぜ女はついていくのだろう、そして泣くのだろう。

早く出てほしかった。今の俺には正直辛すぎる内容で悲しくて。

不幸なことに定員は揚げ物の確認で裏に回り店内には俺と彼の二人きり。

おじさんとも言えばおじさんだけど、オーラはまだ若くて、言ってしまえば男でも女でも通用するような中性的なオーラで、なんか、見ているこっちも泣きそうになる。

俺が涙の時にポプラの枝になってくれるのは、いったい亮なのだろうか。

孤独な人に漬け込むようなことは言えないんやったら今すぐ電話に出て。

一瞬でも、この初めてあった奴にポプラの枝になってほしいなんて考えてしまったことが悔しくて。

同時に亮にも後ろめたくて。

亮が笑ってくれるなら俺は悪にでもなる。

でも、亮は俺が悪になったら笑ってくれないような気がする。

なんとなくだけどね。