米花町の引っ込み思案な女の子 (ページ9)

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めがねのおにいさんページ9

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何やらあまりよろしくない雰囲気を察したAが不安にそうに眼鏡の男と安室の間で視線を右往左往とさせた

「さぁ、Aちゃんこっちにおいで。僕がリンゴジュースを買ってあげますから」

「ふふ、ではお姫様を取られてお怒りの騎士様へお返ししましょうか。」

すとん。と優しくその場に降ろされたA

困った顔をしながらも、こちらを見て待っている状態の安室の元へ小走りで近寄った

「勝手に一人で出歩いたら危ないだろう？もうやっちゃダメだよ」

「ごめんなさい…」

「僕こそ君を一人してごめんね。無事でよかったよ」

仲直りのようなものをした後、お兄さん。と思ったAが振り向くと、そこにはもう誰もいなかった

代わりにソファーの上に一本のりんごジュースが。

「ありがとうって言いたかった…」

そのりんごジュースを手に取って男が去ったであろう方向を見つめるAに、普段とは違った表情の安室が口を開いた

「あんな男にお礼なんて言わなくて大丈夫ですよ。はい、どうぞ」

「え？もう一本あるよ」

「これは僕が飲むよ。Aちゃんには僕が買ったからこっちを飲んで欲しいな」

戸惑いの表情を浮かべながらそっと手を伸ばして安室のりんごジュースを受け取った

安室はさぞ当然だ。というようにAからもう一本のりんごジュースを受け取ると見えない位置で握りつぶした

ブシャッと何かが潰れる音を聞きとったAが安室を見るが、にこりと微笑んだ彼を前に何も言えない

「そうだ、もうお昼だね。お腹すいたかな？」

「…すいた」

時計を確認すると12時をとっくに過ぎていた。

どこかご飯を食べて行けるような店があるか。と考えている安室の裾をちょこっと引っ張ったA

「オムライス食べたいです」

「じゃあレストランに行こうか？」

そう提案した安室の前で首を横にブンブンと振った

「お兄さんのオムライスが食べたい…」

「え、僕のでいいのかい？」

「お兄さんのがいい」

駄目かな…と控えめに可愛いおねだりをしたAに対して何かが湧き上がりそうになった安室

これが父性本能というものかと。

病院を出るとすぐにコナンが駆け寄ってきた

どうやら待っていたらしい。

二人に声をかけようとした時、同じりんごジュースを飲んでいるのを見て、その姿がまるで親子のように見えた