米花町の引っ込み思案な女の子 (ページ8)

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りんごジュースページ8

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「じゃあここで待っててね。」

「…はーい。」

医者からの説明を聞くために一度退出した安室を見送ったあと、つまらなそうに窓の外を見つめた

詳しく検査をするために一旦病室に入れられたA

「のどかわいたなぁ」

ゴソゴソとポケットを漁ると500円玉を一枚握りしめてそーっと病室を出て行った

「ぶあ…っ」

「おっと。すみません、怪我はありませんか？」

自動販売機目掛けて廊下を走ったAにさっそく罰が下さると言うように、丁度部屋から出てきた人と衝突をして尻もちをついた

驚きで目をパチクリとさせる彼女の目の前に穏やかな表情で手を差し伸べたのは眼鏡をかけた男性だった

「ご、ごめんなさい。」

「ちゃんと謝れて偉いですね。僕は大丈夫ですが、君の方が心配です」

Aのションボリとした態度に微笑ましそうに笑った男は、眉をひそめながらAの首元に触れた

そこにはグルグルと巻かれた包帯に痛々しさを物語る血痕が点々と染み付いていた

「…大丈夫です」

ピシリも顔を固めたAが逃げるように走って行ってしまった

怖かった。と自動販売機の前でゆっくりと呼吸をする

何飲もうかと顔を上げたところでハッ気づいた

「おかね…落としちゃった」

「ひょっとしてこれでしょうか。」

隣からいきなり出てきた手にびっくりするとさっきのお兄さんが立っていた

その手には500円玉。

「そ、そう。えっと、ありがとう…ございます」

「いえいえ。もし宜しければお手伝いしましょうか？」

にこりと笑った男に困ったように目をキョロキョロとさせるA

男はお金を自動販売機に入れると何が飲みたいかと尋ねてきた

「りんごジュース…Aが押したい」

「おや、それでは背が届きませんね。僕が抱えるのでボタンを押してもらってもいいですか？」

Aが答える隙もなくいきなり高くなった視点

驚いて思わずバタバタと暴れると困ったような声が聞こえた

「…こわい」

「驚かせてすみません。絶対に落とさないので安心して下さい」

さぁ、ボタンを押して。と促されて、手を伸ばしてボタンを押そうとした時

不意に横から聞き馴染みのある声が聞こえた

「勝手なことをされては困りますね。警察に通報するべきでしょうか？」

「ほう、貴方の知り合いでしたか。確か…コナンくんとも知り合いでしたよね？」