米花町の引っ込み思案な女の子 (ページ1)

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おむらいすページ1

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「Aー！そろそろお昼ご飯食べに行きましょう？」

女性の声を聞いて布団にくるまっていた女の子は更に潜ってしまった

「もう！こんな所に居たの。まだ引っ越し準備が出来てないから外食でいい？」

「い、いやだ。お家でたべたい」

布団を捲られてしまった少女は涙目で小さな紙を握りしめていた

Aちゃんへ。と大きく慣れていない日本語で書かれたもの。

引っ越しする前の友達からのお手紙だった

中々手紙から離れない娘を見て、何かを決意した女性は言葉巧みに娘を騙して外に連れ出した

「いらっしゃいませ！二名様で宜しいでしょうか？」

「はい。ほらAも挨拶しなさい？」

「こ…んにちは」

母親らしき人の後ろに隠れっぱなしの少女に目線を合わせてしゃがんだ褐色肌の定員

お得意の笑顔でニコリ。と笑いかけると普段から貰う反応は違く、全身を震わせてギュッと裾を掴む女の子を見て困ったように鼻をかいた

「怖がらせてしまったみたいですね、すみません。お席にご案内しますね！」

「Aったら…お願いします。」

相変わらずの娘の怯えように呆れたようにため息をついて娘の手を引いて行った

「じゃあ、イカ墨パスタを一つと、Aはどうする？」

「これ…」

「うん、じゃあお兄さんに言ってごらん」

自分に振られたと理解した青年がまた腰低くかがんで少女の警戒心を解こうと目を合わせた

「…まずは自己紹介しようか！僕の名前は安室透っていいます。君の名前も教えて欲しいな」

「A…流川A」

「Aちゃんか、可愛い名前だね！もうお腹はペコペコかな？」

安室の問いにこくり。と頷いたA

一方やっとコミュニケーションが取れたことに嬉しそうに微笑んだ安室

「じゃあ早く用意しないとね。何が食べたいか教えてくれる？」

「おむらいす…食べたい」

「よーし！お兄さん頑張るからお利口さんに待ってるんだよ。」

失礼します。と一礼して安室はAに微笑むとその場を去って行った

「この時期に引越しか…いや、考えすぎか。一般人まで疑うなんてよく公安が務まるな」

重くため息をついた彼はテキパキと準備を始めた

どうせもう関わることは無いだろうと勝手に振り切っていた

三日後、見覚えのあるメガネの少年と再び来店するまでは。