【派生作品】嘘の象徴

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「自分の事を一言で表すと何?」



……僕は、この質問が大嫌いだ。
こんな馬鹿みたいでつまらない質問をこれまでに何度されただろう？
こんなつまらない質問をする目の前の名前も知らない誰かはきっとつまらない奴なんだろう。
なんて思いながら、僕は笑って口を開いた。



「嘘吐き」



多分その言葉は批判的というか何というか、悪い印象を持たれやすい言葉だと思う。
実際、目の前の誰かは僕を軽蔑するような、というよりは哀れむような目で見ているし。



でもさ、わざわざ質問に答えてやったのにそんな目で見るのは失礼じゃない…？
まあ僕は悪い嘘吐きだからそういう目で見られても仕方ないかもしれないけど。
なんて思いながら、僕も目の前の誰かを哀れむような目で見てやった。



「あ、えっと…答えてくれてありがとう。私、用事思い出したから、またね」



すると目の前の誰かは見え透いた嘘をついて慌てたように走り去ってしまった。
多分哀れむような目で見られたからなんだろうけど……。
自分が嫌な事を他人にするなって習わなかったのかな、なんて思ったけど
特大ブーメランだと気付いたから考えるのを止めて僕は溜め息混じりに呟いた。








「……なんか、酷く疲れた……」

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