道を聞いたら誘拐された。『文スト』

狂愛END ページ34

「巫山戯んじゃねェぞ、A」



「い、いや！」





中也に怒りがこみ上げる。なぜ分かってくれないのか。



こんなにも好きなのに。こんなにも愛しているのに。こんなにも大切に思っているのに。



ただ自分を見て欲しくて。ただ他のやつに目をつけられたくなくて。ただそばにいて欲しくて。



ただ、それだけなのに…。





「太宰なんかに渡さねェよ。手前は俺のだ。俺だけのモノだ！」



「！待て！」



「え？や、やぁ！？」





中也はAを抱き上げ、異能でその場を離れる。ついでに太宰の車も壊して。





ー






「扉も新しくした。何もかも頑丈にした。あの狂った兄に、もう会わなくていいんだよ」





地下室へと戻り、中也はAをベッドに下ろす。そして、後ろから抱きしめた。





「嘘つかれてて、つらかっただろ。俺は、手前に嘘なんてつかねェ。これからも、ずっと、永遠にだ」



「…本当、ですか。嘘、つかない？私に、全部話してくれる？仕事のことも、私への気持ちも、何もかも、全部…！！」





Aは中也にしがみつき、何回も質問する。兄に秘密にされていたことにショックを受け、自然と心は中也に傾いてしまった。





「当たり前だ。愛してる女に、嘘なんてつくわけねェだろ」



「中也さん…」





Aの目に、もう光はない。見えているのは、中也だけ。



互いが互いに依存し、互いが互いを束縛する。



二人は、これから築き上げていく。






愛という名の、“狂愛”を_______。

禁愛END→←32日目

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す