道を聞いたら誘拐された。『文スト』

27日目 ページ28

そっと部屋を出てみる。……本当に仕事に行ったみたい。…逃げられる？



私は走って上に行く。傘はないし、靴はどこにあるか分からない。でも、とりあえずここから出なくちゃ！お兄ちゃんに、会いたい…！



外は土砂降り。だけど、そんなこと気にしない。



私は街を駆け出した。時々人とぶつかるけれど、顔を合わせるのが怖いから謝らない。



もし、中也さんの知り合いだったら？中也さんがその知り合いに私のことを話していたら？



きっと、ただじゃおかない…！私は裏路地に入ることにした。





「こっちなら、人は少ない、かな…。…港…」





雨音が響く中、時々、船の汽笛も聞こえる。ぼーっとしかけてた…走らなきゃ。あの家から、離れなきゃ…！



体が痛い。奥の奥までが痛い。足の裏も痛い。でも、止まれない。止まりたくない。



角を曲がった瞬間、誰かと思いっきりぶつかった。







「動くな！」






目の前には、たくさんの銃口があった____。

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