道を聞いたら誘拐された。『文スト』

25日目 ページ26

とりあえず、入って湯船に浸かる。お湯はもう張っておいてくれたことには感謝だな…。





「気持ちいい…。……痛っ」





右手首を見ると、真っ赤に腫れていた。昨日の手錠のあとだ…。暴れてたんだ…。



昨日のことは、あまり覚えていない。けれど、右手首の痛みが、教えてくれている気がした。





「…上がろ」





バスタオルで拭いている間にカゴの中を見る。服、置いてある…。私のじゃないな。中也さんのパーカーとジャージだ。……下着は、私のだけれど。



さっさと着て、リビングに向かおうとする。けど、体が痛くて思わず立ち止まった。





「い、痛い…！」





しゃがみこむ時に、何かに引っかかって大きな音が鳴る。同時に、中也さんが駆け込んできた。





「大丈夫か！？……悪い、俺のせいだ。部屋まで運んでやる」



「…ありがとうございます」





普通にお礼を言うのって、おかしいのかな…。いや、まあ、どっちでもいいか…。



部屋に戻って、中也は私をベッドに下ろした後、仕事だからと言って出て行った。





「…よし、試してみよう」





私はヘアピンを取って、鍵穴にさしてみた。難しそうだけど、あかないってことも無い。お兄ちゃんに教えてもらってて、よかった…。





「こう、かな…。それで………」







ｶﾞﾁｬﾘ







「……開いた…！」

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