道を聞いたら誘拐された。『文スト』

2日目 ページ2

「…？ぼーっとしてるな。大丈夫か」



「………こ、ここはどこですか？貴方は一体…！」




とりあえず、思いついた疑問をぶつけてみる。誘拐犯には見えにくいこの人は、一体何者なんだろう…。





「俺は中原中也だ。ここは俺の家の地下室。まあ、今日からは手前の部屋だけどな」





私の、部屋…？え、ちょっと待って。意味がわからない。私の部屋？今日から？ここに住むってこと？





「わからねェって顔だな。まあそのうち慣れる。気にすンな」



「気にします！私、こんなところに住む気なんてないですし…そもそも、ここに連れてこられた理由がわかりません！」



「…そんなもン、決まってんだろ」





腕を引かれて顔が近くなる。普通に出会っていたら、綺麗な顔立ちだな、なんて、普通のコメントをしていた。でも、今は違う。離れたい。怖い。近づきたくない…！








「俺は手前に惚れた。だから、連れてきた」








一目惚れがこの世にあることと、惚れた人を軟禁するなんてことがこの世にあることを、私は今初めて知りました。

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