【実.況.者】社内恋愛禁止

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「やべ、飲みすぎたかも…ちょっと、トイレ…」



フジくんが珍しく気持ち悪そうにトイレに向かったので今のうちにお会計を済ませようと、イケメン作戦を決行する。



「ん、俺も払うー。はい。」



「もー。それレシート！レトくんも酔いすぎー」



「あわー。ほんとだあ。ふふふ」



耳まで赤くさせて小さく揺れるのは、彼の酔った証拠らしい。その間にカードを出して支払いを終えた。



「はい！今日はハッシーの奢りです！」



「おー！Aちゃんイケメンやあ。」



ニコニコ顔のレトくんにありがとうと頭を撫でられる。彼の手は大きくて暖かい。酔うと名前で呼ばれるのにもまだ慣れず、照れくさくて小さく笑うと突然視界がボヤけた。



「んー。やっぱりメガネないのも可愛いなあ」



「わ、ちょっと！もー！メガネ返してっ」



ぼやけた視界でもやっとわかる彼の手元に手を伸ばすと、ひょいと距離を取られてバランスを崩してしまう。

ゴン、とおでこがぶつかった感覚に痛みを覚えながら顔を上げるとレトくんの顔が至近距離にあった。どうやら彼の胸に飛び込むように崩れてしまったらしい。



「っ！ごめん。」



彼も驚いた表情で、一気に恥ずかしくなった。私が身体を戻そうとした時、ブラウスの裾を掴まれる。



「えっ、？」



反射的に驚くと彼はもう一度裾を掴み直して自分の身体へと、手を寄せる。ふわりと香るビールの匂い。

なぜか優しく抱きしめられてしまった。



「ん…いいにおい…寝れる…」



彼の心臓の音が聞こえる。やっぱりちゃんと男の人の身体つきだな、なんて、そんなことより、私の心臓が保ちそうにないです。



「ちょ…ちょっと！」



「ん？かわいー子見つけたあ」



ふふふ、と笑っておでこにキスを落とされる。突然のことで頭が回らない。今、私のおでこ…



「……トイレ」



そう言うと、すぐに私の背中に回していた腕は解かれる。私のメガネを机に置いてそそくさと部屋を出てしまった。



「勘弁してよ、もう…」



私、いつも振り回されてる…心臓が落ち着くまで、もう少しかかりそう。


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(さすがにやりすぎた…よなあ)

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