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テレビの前のソファを背もたれにして床に座り天気予報を見る。2時間後には太陽が屈託のない笑顔で描かれていた。
キヨくんがあがったらタクシーを呼んで帰ろう。そう思いスマホを置く。
「ん〜…つかれたなあ」
ぼーっとする頭で目を閉じると、気付いたら眠ってしまった。
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「んぱい…A先輩。」
「ん…あれ…ごめん、ねてた…」
キヨくんに呼びかけられて、ようやく目を覚ます。体を起こすと、窓の外は暗く雨も降り続いていた。
「先輩、腹減ってません?」
「えっ。キヨくん、料理できるの?」
「冷凍っす。」
そう言いながらはにかむ彼はいつもよりも表情が柔らかく、私もつられて笑ってしまった。
キヨくんはラーメンと餃子を出してくれた。彼は私が眠っている間に、準備してくれてたらしい。
「あっ!先輩、ちょっと目瞑っててください」
キヨくんはキッチンの方になにかを取りに行ってしまった。目元を手で覆いしっかりと目を瞑る。
「なにー?隠し味?」
「ふっふっふっ…はいー食べてみてください」
匂いを嗅いでもあまり変化はない。キヨくんはニヤニヤと面白い顔をしながらこっちを見ている。
「いただきます」
一口食べると、甘みと辛味が絶妙なバランスでいつも食べるラーメンじゃないような不思議な味がした。
「んっ!?なにこれ!美味しいけど不思議…」
「実はこれ、はちみつ入ってるんすよ」
はちみつ!?と自分でも驚くような声が出た。案外いけますよねと私のリアクションを楽しんでる様子のキヨくん。本当に美味しくて、すぐに平らげてしまった。
他愛のない会話をしていると、餃子もすぐに完食した。後片付けくらいはさせて、と懇願して私が食器を洗っているとカウンターの方から何やら楽しそうにこちらを見ているキヨくん。
「…キヨくん、前より楽しそうだね」
「楽しいっすよ。先輩がいるし」
へへっ、と照れ臭そうに笑っている彼を少し前の自分に見せてあげたい。
「…なんか新婚さんみたいじゃないっすか?俺たち」
一瞬ドキッとしたけれど、もうその手には乗らないとつばを飲み込み、そうだね。と笑って返した。
彼にとって想定外だったのか、ほんのり顔を赤く染めて口を紡いでいる。
「あ、照れてる〜」
キヨくんを弄り返すの、ちょっと楽しいかも。
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(それは反則すぎるって)
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sawa0717(プロフ) - レトさんの夢小説を探していたところこの作品に出会いました!みんな口調にも違和感がなくとても面白かったです!!!最終投稿日から日が空いてしまっているのですがレトさんと喧嘩してしまって夢主ちゃんが泣く的なシュチュが見たいな〜と、更新楽しみにしております (2022年12月3日 22時) (レス) id: bed7cc28ea (このIDを非表示/違反報告)
ぴより(プロフ) - ゆゆゆさん» コメントありがとうございます(;o;)しばらくぶりの更新にこんなに嬉しいコメント頂けると思いませんでした!とても励みになります!!ゆっくり更新の分質を高められるようにがんばりますので気長にお待ちくださいo(^o^)o (2021年2月8日 0時) (レス) id: 03f42a40b0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。以前から拝見させていただいており、更新を待ち侘びておりました!お忙しいとは思いますがお身体に気をつけて、これからも更新楽しみにしております! (2021年2月6日 0時) (レス) id: 89ceb73b2b (このIDを非表示/違反報告)
ぴより(プロフ) - 六花さん» リクエストありがとうございます!とわこさん描きたいと思ってたのでそのネタ頂きます、、!笑 順番に書いていくので少々お待ちください! (2019年12月13日 21時) (レス) id: f82d25de14 (このIDを非表示/違反報告)
六花(プロフ) - ぐっとくる設定で好きです!!サブキャラをメインで書くことってありますか?あるなら夢主ちゃんがとわぽんorとわぽんが夢主ちゃんの夢を見る話とか見てみたいなあと思います (2019年12月8日 16時) (レス) id: 9a3b31f982 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴより | 作成日時:2019年10月17日 23時