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「一旦、外の空気にあてたほうがいいかもね」
そう言ってふたりでレトくんを連れて行こうとしたのだが、フジくんが上司に呼び止められてしまった。
「いいよ。私が連れて行くから」
彼は優しいのでタイミングを見計らってすぐ行くから、と言ってくれた。
レトくんのふらふらの足をなんとか頑張らせて、店の外のベンチに座る。
「よっこいしょ、っと」
水でも買ってこようとすぐそこにある自動販売機に行こうとしたとき、スカートの裾を掴まれてよろけてしまった。
「わっ、」
振り向くととろんとした顔のレトくん。少し寂しそうに眉尻を下げていて、なんだか小型犬に見える。
「行かんといて、」
「ほら、水!買ってこようと思って。」
頭をゆらゆらさせながら、んーん!と言うレトくんは子供みたいでとてもかわいい。
「…じゃあ隣座るね」
そこまで気持ち悪そうでもなかったけど、背中とかさすったほうがいいかな、と思い上体を彼に向けてゆっくりと撫でた。すると彼は焦点の定まらない瞳で私の顔を覗き込む。
「吐きそう?大丈夫?」
「…ん。ありがとお」
へにゃ、という効果音が聞こえてきそう。小さく笑うと、レトくんのゆらゆら揺れていた頭が私の肩に乗りかかってきた。
「おっと……ごめんね、私のためにお酒、飲んでくれたんだよね」
「んー?Aちゃんがかわいいからー」
「ふふ、酔っ払ってるなあ…」
いつもはハッシーと呼んでくるのに、今はなぜかちゃん付けで、ドキッとした。レトくんの呼び方がお酒のせいで熱を帯びてるせいかもしれない。
ん〜と言いながら頭をゆらゆらさせていたが、少しするとスースーと寝息が聞こえてきた。
「ええ?寝たのー?おーい」
とんとん、と肩を叩いても聞こえてくるのは寝息だけ。
私の力じゃ彼を起き上がらせることは無理そうだからフジくんが来るまで、我慢しよう。
この肩の重さが少しだけ、ほんの少しだけ心地いいな、なんて。
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(Aちゃんの匂い…)
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sawa0717(プロフ) - レトさんの夢小説を探していたところこの作品に出会いました!みんな口調にも違和感がなくとても面白かったです!!!最終投稿日から日が空いてしまっているのですがレトさんと喧嘩してしまって夢主ちゃんが泣く的なシュチュが見たいな〜と、更新楽しみにしております (2022年12月3日 22時) (レス) id: bed7cc28ea (このIDを非表示/違反報告)
ぴより(プロフ) - ゆゆゆさん» コメントありがとうございます(;o;)しばらくぶりの更新にこんなに嬉しいコメント頂けると思いませんでした!とても励みになります!!ゆっくり更新の分質を高められるようにがんばりますので気長にお待ちくださいo(^o^)o (2021年2月8日 0時) (レス) id: 03f42a40b0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。以前から拝見させていただいており、更新を待ち侘びておりました!お忙しいとは思いますがお身体に気をつけて、これからも更新楽しみにしております! (2021年2月6日 0時) (レス) id: 89ceb73b2b (このIDを非表示/違反報告)
ぴより(プロフ) - 六花さん» リクエストありがとうございます!とわこさん描きたいと思ってたのでそのネタ頂きます、、!笑 順番に書いていくので少々お待ちください! (2019年12月13日 21時) (レス) id: f82d25de14 (このIDを非表示/違反報告)
六花(プロフ) - ぐっとくる設定で好きです!!サブキャラをメインで書くことってありますか?あるなら夢主ちゃんがとわぽんorとわぽんが夢主ちゃんの夢を見る話とか見てみたいなあと思います (2019年12月8日 16時) (レス) id: 9a3b31f982 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴより | 作成日時:2019年10月17日 23時