01。レトルトと残業 ページ2
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「先輩、この資料チェックお願いします」
「あ、うん。そこ置いておいて」
月末はいつにも増して忙しい。今日中に終わらせる仕事が山積みで昼休憩も取らず仕事をしていた。
「ハッシー、ちょっとは休みなよ」
コーヒーを注いでくれたのは同期のレトくん。
どうやら自分の仕事は終わったようで、外を見るともう陽は落ちていた。
「ありがとー…ってあれ、もうこんな時間…!?」
残業確定だなあ、と思いながらコーヒーを流し込んで作業する。
「しゃーないなあ。手伝ってあげるからはやく終わらせよ」
「レトくん優しすぎる。神!だいすき!」
「はいはい。今度焼肉奢ってよ」
「ふふ、もちろん〜助かるよ、ありがとう」
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「うわ、雨降ってきた」
「ほんとだー、結構強いね。はやく終わらせて帰らなきゃ」
土砂降りで時折雷が鳴るほど雨は強い。手伝わせていることに罪悪感が重なる。
「ハッシー、ここの数字1個ずつズレてるよ」
「えっ!?ちょっと見せて……わっ、!」
彼のパソコンを覗いたその瞬間、大きな光とほぼ同時にゴロロロと地鳴りのような雷が鳴った。
思わず頭を下げて、レトくんの肩を掴む。
「びっ…くりしたあ…」
「ぷふ、めっちゃビビってる」
「だって今の音!すごかったし!…っごめん、」
ふと我に帰るとレトくんの顔が至近距離にあって、恥ずかしくてそっと離れる。
ぎゅるるるる…
その時私のお腹が大きな唸り声をあげた。
「う、なんでこんな時に鳴るかなあ…」
「ふはっ、雷に負けんくらいの音やな!」
レトくんがあまりにも笑うものだから恥ずかしさが限界突破。
「ちょっと来て」
腕を引っ張られて給湯室に来た。レトくんはお茶菓子の奥にある高級カップ麺を取り出す。
「わ、これ高いやつだよね」
「そーそー!部長が隠し持ってるの見ちゃったんだよね。食べてみたかってん」
「あとで怒られちゃうよ」
そう言いながら結局2人で高級カップ麺を食べ終えた。スープの濃厚さと麺の固さがちょうどよくて久々の食事は最高だった。
「美味しかった〜残りもうちょっとだし、ちゃっちゃと終わらせよ!」
給湯室を出て部屋に戻ると、廊下から足音が聞こえてきた。
「うわ、やばい」
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sawa0717(プロフ) - レトさんの夢小説を探していたところこの作品に出会いました!みんな口調にも違和感がなくとても面白かったです!!!最終投稿日から日が空いてしまっているのですがレトさんと喧嘩してしまって夢主ちゃんが泣く的なシュチュが見たいな〜と、更新楽しみにしております (2022年12月3日 22時) (レス) id: bed7cc28ea (このIDを非表示/違反報告)
ぴより(プロフ) - ゆゆゆさん» コメントありがとうございます(;o;)しばらくぶりの更新にこんなに嬉しいコメント頂けると思いませんでした!とても励みになります!!ゆっくり更新の分質を高められるようにがんばりますので気長にお待ちくださいo(^o^)o (2021年2月8日 0時) (レス) id: 03f42a40b0 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆゆ(プロフ) - 初めてコメントさせていただきます。以前から拝見させていただいており、更新を待ち侘びておりました!お忙しいとは思いますがお身体に気をつけて、これからも更新楽しみにしております! (2021年2月6日 0時) (レス) id: 89ceb73b2b (このIDを非表示/違反報告)
ぴより(プロフ) - 六花さん» リクエストありがとうございます!とわこさん描きたいと思ってたのでそのネタ頂きます、、!笑 順番に書いていくので少々お待ちください! (2019年12月13日 21時) (レス) id: f82d25de14 (このIDを非表示/違反報告)
六花(プロフ) - ぐっとくる設定で好きです!!サブキャラをメインで書くことってありますか?あるなら夢主ちゃんがとわぽんorとわぽんが夢主ちゃんの夢を見る話とか見てみたいなあと思います (2019年12月8日 16時) (レス) id: 9a3b31f982 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぴより | 作成日時:2019年10月17日 23時