【実.況.者】社内恋愛禁止

１４。弟と元彼と夢(リク) ページ35

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「A？おーい、A」



「ん…？とわくん？なんでここにいるの？」



「Aが言うたんやん、一緒に寝よって」



「え？何言って…わっ」



ふわふわした感覚に、夢が現実か分からないでいると背中からぐっと抱き寄せられた。



「なんで、俺でいいじゃん」



「えっ？だ、誰っ」



聞き覚えのある声。なのに、誰か思い出せない。

振り向こうと思った時にはまた目の前のとわくんに抱き寄せられる。きっと夢だ、そう思うのに抱きしめられる感覚はしっかりと残っている。



「えっ、と…これは…」



気づいた時には私は湯船に浸かっていた。あれ、ここは昔行ったことがある。温泉…？



「あったか〜」



「えっ！？ちょ、なんでまたとわくんが」



「はあ？なんでそんな慌ててんの？A」



「っ、なんでさっきから名前で呼んでるの！？姉ちゃんでしょ！」



「姉ちゃん…？何言ってんの、俺ら付き合ってんのに」



「え？？いやいや…何言って「こんなやつより、俺にしなよ」



目の前にいたとわくんが一瞬で、見覚えのある人に変わる。これは悪夢だ。



「ほら、こっちおいで」



私の意思に反して、体は吸い寄せられるように勝手に動く。彼の横に腰を下ろして、一緒に温泉から見える景色を楽しんでいる。


思うように声が出ない。助けて。もう聞きたくない。



「や、やだ。っ」



背中から優しく抱きしめられた時、私はハッと目覚めた。全部夢だった。起き上がると自分が泣いていることに気づいた。



「おはよ、姉ちゃん。飯食う？」



「とわく…！よかった…とわくんが弟でよかった…」



「いや、朝から何…？？」



犬を撫でるようにとわくんのボサボサ頭を撫でながら涙を拭く。



「怖い夢でも見た？」



察しのいい弟に隠し事はできないらしい。



「元彼が夢に出てきて…あと、とわくんが私の彼氏だった」



「はあ？きっしょ」



「こっちのセリフなんだけど。とわくん名前で呼ばないで」



「それは夢の中の俺に言って」



なんとなく嫌な気分も、とわくんと話すことで解消される。そんなマイナスな気持ちだって、今日はライブに行って発散する。はずだった。




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