*六話 ページ15
「さすがお嬢様学校という感じだねえ。お城だか学校だか分かりゃしないよ」
あちこちを見回しながら、晴一が呟く。
「……」
「どうしたんだい、まほろ。さっきからイヤに静かだけれど」
立ち止まり、マホロの顔を覗き込んだ。
「……別に」
ならいいけど、と訝しがる晴一を引き離すように、まほろは足を速めた。
(晴一は自分を私の『保護者』と言った。じゃあ、『何』から私を保護してるんだろう。『いつまで』保護してくれるんだろう)
廊下、普段から人の寄り付かないであろう部分で、足を止める。
美術準備室の前。首筋に、チリっとした緊張が走った。
「……晴一」
「そうだね。何かありそうだ」
吸血鬼というのは、
吸血という行為にしても、血を欲しているだけでなく、血に混じったエネルギーを吸うという目的もあると晴一は言う。
だからなのだろうか、エネルギーの塊である霊体を、下位のモノであれば、晴一は「喰らう」ことができる。これは、すべての吸血鬼が持つ、特性のようなものらしい。
そんなわけで、「視える」というだけで、説得すること以外に、霊から逃れる術を持たないまほろにとって、晴一の力はなくてはならないものだった。
なまじ存在を知ってしまえるだけに、霊に近づかれやすい体質なのだ。
晴一がいなければ、今頃まほろは、何かに取り殺されてしまっていたに違いない。
互いにうなずき合い、二人は一気に、美術準備室の扉を開け放った。
「……‼」
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
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花尾安紀(プロフ) - 昴さん» お読みくださりありがとうございました! 更新頑張ります! (2016年5月4日 6時) (レス) id: 441a893882 (このIDを非表示/違反報告)
昴(プロフ) - 読ませていただきました!とても面白かったです!更新頑張ってください(((o(*゚▽゚*)o))) (2016年5月4日 3時) (レス) id: bf11e41d26 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花尾安紀 | 作成日時:2016年5月3日 18時