橙さんとお兄ちゃんと弟たちの物語５ (ページ26)

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美鈴｢あ、そうだ
なんか話あるんじゃなかったの？｣

康｢…おん｣

美鈴｢どうしたの？｣

康｢…翔太くんのことなんやけど｣

美鈴｢聞いてくれたの？｣

康｢…おん、そやねんけど

これから話すことは美鈴さんにとって
酷かもしれへんねん…

それでも聞く？｣

美鈴｢…うん、聞くよ｣

康｢…分かった

あのな翔太くん、同性愛者やねんて
意味分かるよな？｣

美鈴｢男性が好きってこと？｣

康｢おん…

今まで女子にも男子にも
告白されたことあるらしいねんけど

全部、断ってるんやて
ほんとに好きになった人と付き合いたいからって｣

美鈴｢…翔太先輩ってすごいね
自分の気持ちきちんと持ってて

ありがとね、聞いてくれて
そう言われても引いたりもないし
嫌いにもならない笑

結構深いとこまで好きになってるみたい笑｣

康｢…やっぱり美鈴さんはかっこええわ

翔太くんのことすごいって言うてるけど
美鈴さんもすごいと思うで？

美鈴さんやって自分の気持ちちゃんと
持っとるやん｣

美鈴｢ありがと

なんか向井くんに言われると
自分すごいのかなって思っちゃうくらい
説得力ある笑｣

康｢そうかな？
本音言うてるだけやねんけど笑｣

俺も翔太くんのこと好きなんて
口が避けても言われへんわ…笑

こんなに翔太くんのこと
思っとるんやもん

俺も負けないくらい好きやけど笑

美鈴｢そろそろ教室戻ろうか｣

康｢そうやな｣

美鈴｢これ、ありがとう｣

シャツを返されてそれを着て
ベンチから立って入口に行こうと
入口を見ると

康｢っ!!翔太くん…｣

美鈴｢翔太先輩…｣

そう言うと翔太くんは
そのまま走って行ってしまった

康｢翔太くん!!｣

俺は翔太くんを追いかけるために
走っていた

美鈴｢向井くん!?｣

美鈴さんの声が後ろから聞こえたけど
気にしてられなかった

追いかけたけど
翔太くんが見当たらなくて…

見失ってしまったのが分かった

俺の見間違いやなければ
泣きそうになってた…気がする

…それから俺は翔太くんに
避けられるようになってしもうた

…涼太くんは俺に話しかけようと
してくれるけど翔太くんに止められてしまうから

涼太くんとも会えなくなってしまった