14 ページ14
.
「俺さー、車運転するの、大好きで、」
A「ええ、じゃあ、ドライブとか?」
「そう!俺よく友達誘ってぶら〜ってドライブしたりすんの、夜とか。…まあ、ゆっても30分ぐらいだけどね、笑」
A「えー、30分のためにわざわざ友達誘うんですか?笑」
「うん、そう。笑 俺、ひとり行動できないタイプなんだよね〜。買い物も、外食も、ずっと友達についてきてもらう、笑」
" だってさ、どこ見ていいかわかんなくない?!"
そう言う彼は
あの、コンビニに行くときは家が近いのもあって
誰か誘うのも申し訳ないから誘わないらしい。笑
赤信号でちょうど止まった車
この人、変わってるなあ、なんて思いながら
ふと、窓の外見たら
さっきと全く同じ道路だった。
あの言葉遣いと
あの目つき、あの笑い方。
無意識にもケントさんのことを思い出してしまって
完全にフリーズしてしまう
そして次第にだんだん、震えてくる手。
この車は外車だからか、
窓から見える景色も反対で違うはずなのに
大丈夫、この人は大丈夫。
いくらそう、言い聞かせても
手の震えは一向におさまらなかった。
「…Aちゃん、だっけ?」
A「…」
「Aちゃんは、なにが好き?」
沈黙を破るように
話しかけてきた彼は
不意に、横目にわたしを映したのか
そのとき、わたしが震えていることに気付いた。
そして、その瞬間、目を大きく見開いて
驚いた顔をしていた。
「…え、どうした?!、」
A「…あ、ごめんなさい、大丈夫です、」
「…あー、ごめん。もしかしてさっき、ここ、通った?」
A「…」
「うわー、ほんとごめん、道変えればよかったね」
そう言って俯いてたこの人は
パッと顔を明るくしながらあげてから
" じゃあ、青になるまで "
そう言ってから
ハンドルを握っていない、右手で
わたしの震える手をそっと、握りしめてくれた。
あの時、ケントさんと一緒にいるときは
怖すぎてはやく時間が過ぎればいい、
そう思ってたはずなのに
いま、一緒にいるこの人となら
ずっと、このままがいいなんて思ってしまっている自分がいた。
208人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あゆ | 作成日時:2020年3月24日 16時