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赤信号、止まる車。

ぼんやりと、車内に流れるラジオを聞き流しながら
また、外を眺めてた。



「ね、Aちゃんってさ、彼氏いんの?」

A「え?あ、いないです。」

「じゃあ好きな人は?」

A「……いないです。」

「へえ〜いるんだ、わかりやすすぎでしょ笑」

A「…」

「なのに他の男の車なんて乗っちゃってていーの?夜も遅いよ?笑」

A「…え?それってどうゆう、」





ケントさんはニヤッと笑いながら
信号が青になった途端、

まっすぐ進む予定だったこの道路、

急に右の細い路地に進み出した。



後ろからは急に進行方向変えたからか
クラクションが鳴り響いてるのが

やんわり、聞こえた。



A「…え?」

「こういうこと笑」

A「え、ちょっと、わたしの家、」




わたしの家、まっすぐのところです

そう言おうとしたところで気づいた。




この先はこの辺では有名なホテル街があって
ケントさんが向かっているということは、




つまり、そういうこと。







A「…騙したんですか?」

「乗ったのは、Aちゃんでしょ?笑」

A「………おろしてください」

「ん〜?どこがいい?」




"この辺でいっか"





ケントさんが車を止めたのは
ラブホの隣にある、コインパーキング


なかなか降りれずにいたわたしに


"はやく降りろよ"


そう言ったケントさんは
最初話した時よりだいぶ、
話し方が違う。



もうむりだ、

そう思って

シートベルトを外そうと、
手をかけたとき

自分の手が震えていることに、初めて気づいた。






…だめだ、逃げなきゃ、




震える手で、シートベルトを外して、
ドアを開けて、


それから
わたしは一生懸命に走った。


どこに向かってるのかも分からずに、
ただただ、逃げることだけ考えて





「おい、ちょっと待てよ!」




そう、すぐに後ろから追いかけてきたけど
捕まらないように、


それだけを考えて走り込んだ。

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作者名:あゆ | 作成日時:2020年3月24日 16時

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