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「男の家来てんのに男と電話でちゅか、Aちゃんは」
「お、男の家ってローレンだし。別に…」
「はあ?お前俺を甘くみすぎな」
軽いでこぴん。
甘くみてないよ。普段のローレンならきっと雨なんて降ってなくても簡単に女の人を連れ込んでお風呂なんか入れずにそのまま色々しちゃう。
でもわたしには絶対手なんて出さない、それだけは絶対に、ほんとだから。
「ま、いーや。こっち来なさい髪乾かしてあげる」
「え!?いやローレン先乾かしなよ」
「ダメ、Aが先」
来ないとしても強制やねと言いながら私の後ろに回り込んでドライヤーのスイッチをオン。
ドライヤーの音と暖かい風と少し冷たいローレンの手。
家に呼ぶ女の子達にもこうやって乾かしてあげてるの?なんて聞く勇気はもちろんなく膝を抱えて髪が乾くのをぼーっと待つだけの時間。
胸下まである髪は普段なら乾かすのにとても時間がかかるはずなのに何故だか今日は乾くのがいつもより早い気がした。
「オッケー完璧」
「ありがと、なんかいつもよりサラサラな気がする」
「バーカ元からだろ、普通に」
そのバスタオル洗濯機突っ込んできてとさっきまでわたしが使っていたバスタオルを指さして言ってきたから立ち上がって洗濯機まで入れに行く。
戻ってくるとドライヤーを片手に持っているにも関わらず乾かす気配のないローレン。
風邪ひくよー?と声を掛け座りこもうとするとぐい、と服の裾を引っ張られ少しよろめく。
「危な、なによ」
「俺乾かしたじゃん」
「うん」
「次お前の番」
はい。とドライヤーを手渡される。
どこまでもズルい人だ、ほんとに。
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作者名:M | 作成日時:2024年1月10日 3時