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「よっし、おわり!おわりー!ほらさっさと帰るよA」
「ねー急かさないで」
「深夜なんだから早く帰って寝なきゃでしょ」
明日も大学あんだからって言うけどそれはそっちもじゃん。
ばたばたと着替えてばたばたと荷物をまとめて準備できたよって声を掛けるとちょい待ってなんてスマホに夢中。わたしのことは急かしたくせになんだそれ。
ちらりと横目でスマホを見るとぽちぽちと誰かに返事。
ローレンの返事は素っ気ないものだったけど相手からのものはたくさん♡がついている文で、まあ、女の人なんだろうな。
「……彼女?」
「あ、コラ。勝手に見ちゃダメでしょ」
「彼女なんだ」
「バカ、ちげーよ」
「じゃあ誰?」
「……秘密、Aには早いかもしれんから」
はいはいおしまい!行くよ!ってまた手首をぎゅっと掴んで引っ張ってスタスタと外に向かう。
彼女じゃないなら、なんだ、テキトーに遊ぶ人かな。そういうの多いし、ローレンって。
ちょっとしか年齢変わんないのにこんなに違うものなのかな、わたしはまだ子供でローレンはずっと先を行ってる気がする。
ローレンみたいな大人になりたいわけじゃないけどローレンに似合うような大人にはなりたいよ、なんて。好きになった時からずっとそう思ってるのに何も追いつけなくて。
「逆にさ」
「んー?」
「いねーの?Aは、彼氏」
「……いる」
「は!?」
「……って言ったらどうする?」
「バカお前、焦ったわマジで。Aは彼氏なんかまだ作っちゃダメだからな、変な男ばっかなんだから」
「えー?それはローレン含め?」
「俺みたいな男なんかいっちゃんダメ!マジでクズだかんね、自分でいうのもなんだけど」
ローレンの妹になんかなったつもりないのにいつだってこうやって妹扱い。
普段は歩くのが早いはずなのにわたしの歩幅に合わせてゆっくり歩いてくれるのも、わたしは嬉しくて仕方なくて意識してるのにローレンはただ妹のように見てるだけで。
その違いが少し、寂しい。
…少しくらい女の子としてみてくれたっていいのに。
そんな小さな呟きは大きく吹いた風の音によってかき消された。
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作者名:M | 作成日時:2024年1月10日 3時