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『私、やっと気持ちの整理が着きました。
師範が亡くなってからの私は、ほんとどうかしてました。
師範からの遺言も忘れ、自身の弱さに打ちのめされ、度の過ぎた鍛錬に生活をしていた。
迷惑をかけないように、心配をかけないようにって思っていたくせに、こんなにも迷惑と心配をかけてしまった。
本当に申し訳ないです。
それでも、こんな状態の私のことを突き放さずにここに置いてくださってありがとうございます。
ほんとに、本当に!感謝しかありません!!
ありがとうございます!!』
そう伝え終えた私は頭を上げ、二人の顔を見た。
『えっ……』
え、え、え。
なんで泣いてるの?!
し「グスツ……良かったです。
本当に!頑張りましたね、冬音!」
カ「冬音のことがずっと心配で……。
安心したわ!グスツ……迷惑も、心配も、もっともっとかけていいんだからね!!」
あぁ、この二人は、私の大切な仲間たちは、何故こんなにも美しいのだろう。
こんなに美しい人たちが何故不幸になってしまうんだろう。
私は、心が暖かくなるのと同時に、鬼への憎悪がより一層に深まった。
それから暫くは他愛もない話をし、お館様へ報告に行くことになった。
『よろしくお願いします』
隠「い、いえ!!お乗り下さい!」
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『ありがとうございました』
ついた……。
今日、初めて人にあの戦いのことを話す。
はたして私はきちんと伝えられるのだろうか。
泣き崩れてしまわないだろうか。
不安ばかりで押しつぶされそうになったけど。
お館様の暖かさを思い出したことで、大丈夫だと思えた。
『いつまでもこのままじゃいられないもの、しっかりしなきゃ』
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