第52話 ページ3
「さすがに、生徒を殺させる訳にはいきませんよ……立木さん!」
僕の周りには五条先生による呪力のバリアが出来ており、傷ひとつ無かった。
ただ、五条先生の左腕は出血が酷くボロボロだった。
「五条先生!……腕が!」
「大丈夫だよA……こんなもん呪術師である若人に向けて放つもんじゃないでしょうよ!」
五条先生は俺に笑いかけたあと立木さんを睨む。
「ふん。こんな小物を生かしておいても呪術師の未来は明るくならん。夢をみせる前に殺すべきじゃ。」
「ただでさえ少ない呪術師を殺して何になる……俺達がこの子達に呪術師の明るい未来へ導いてあげなきゃいけないのに、貴方のような人が余計に邪魔してるんだよ。」
「なら、なぜ儂の所にこいつを連れてきた。儂がこういう事をするのを分かっていただろう。」
「確かに、下手をすれば貴方はAを殺すと思いましたよ。けど、この子はいずれ僕達の想いを背負って戦う呪術師になれる。その為にも貴方の元で修行させるしかない。」
立木さんは数秒沈黙した後、持っていた枝を投げ捨て僕の近くに歩み寄ってきた。
「おい、貴様はなんの為に強くなりたい。強さの果てに何を望む。」
「……守りたいんです。もう、大切な人が殺されるのも大事な時に動けないのも嫌なんです……」
「……貴様は本当に全世界の人間を呪いから守れると思っているのか?」
「はい……僕は呪いに苦しむ人達を全員救いたい!」
立木さんは地面にあぐらをかきながら座り、静かに話し始めた。
「……それは無理な話だ。
かつて貴様の様な望みを持った呪術師がいた。
そいつには誰にも負けないような強さがあった。
当然そいつは世界中を飛び回り、一日も休むこと無く言葉通り世界中の人間を呪いから守っていた。
そいつもそうすることが使命だと感じていた。
ある日そいつも家庭を持ち、忙しかったが幸せに暮らしていた。
だが、そいつが海外に飛んでいる時に悲劇は起きた。
そいつの家族は呪いによって惨殺された。
事故現場には遺体も残らないほどグチャグチャに殺されていた。」
「家族が……呪いに……?」
「……人間には手の届く範囲ってのが必ずあるんじゃ。無理に範囲を広げると本当に大事なものまで見えなくなってくるもんじゃ。」
「……それでも、僕はみんなを救いたい!たとえ無理と言われようとも僕は必ずみんなを守ってみせます!」
立木さんは数秒沈黙した後に立ち上がり、後ろに歩き始めた。
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ゆーか(プロフ) - めっちゃ面白くて一気に読んでしまいました!!めっちゃ好きです!!頑張ってください!! (2020年3月10日 21時) (レス) id: f8961577f7 (このIDを非表示/違反報告)
小梅 - めっちゃくちゃ面白いです!すっごく続きが気になります!更新頑張ってください!応援してます! (2020年1月13日 21時) (レス) id: 16729f308f (このIDを非表示/違反報告)
ハクスイ(プロフ) - オオムラサキさん» ありがとうございます!これからも頑張っていきますので、見てくださると嬉しいです! (2019年8月20日 1時) (レス) id: 2b1448f434 (このIDを非表示/違反報告)
オオムラサキ(プロフ) - めっちゃ面白いです!もう最高!呪術廻戦の夢小説って少ないのですごく嬉しいです。これからも頑張ってください (2019年8月19日 18時) (レス) id: b57e3929d2 (このIDを非表示/違反報告)
ハクスイ(プロフ) - かなとさん» すみません。今外しました! (2019年8月16日 15時) (レス) id: 2b1448f434 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ハクスイ | 作成日時:2019年8月16日 13時