第六話 ページ7
目を覚ますと同時にコンコンと部屋の扉がなった。
「起きてるかい?A。迎えに来たよ。」
「は、はい!どうぞ。」
そう言うと、ガチャと扉が開き、五条さんの姿が見える。
「……大丈夫?凄い汗だよ?それにさっき部屋の前で叫び声を聞いたんだけど」
「……夢を見ました」
「夢?」
五条さんはそのまま部屋にあった木製の椅子を引き、背もたれを前にして座った。
「真っ暗な中で、何も見えなくて、聞こえなくてとても怖い空間の中で僕は立っているのか座っているのかも分からず、その空間に居たんです。そしたら、どこからか懐かしく感じる声が聞こえて、何を言ってるのかは分からなかったんですけど、声を辿ると、薄い光を見つけたんです。それでその光に身体が包まれて、目を開けると学校の裏庭でした。けど、空は真っ赤で、下には彼等の……肉塊がたくさん散らばってて……」
思い出すだけで、汗が出てきて手の震えが止まらなかった。
「……っ!?A……その指輪はなんだい?」
ふと手を見ると昨日までは無かった黒い指輪が両手の人差し指と中指にハマっていた。
取ろうと試みるが、何かに引っかかったように指輪は取れない。
「わ、分かりません……僕も今初めて気づきました。」
その指輪はどこか懐かしいようでけれどとてもおぞましく感じた。
「とてつもない呪力を宿した指輪か……呪具の類か?ちょっと調べてみるね。」
五条さんは指輪に触れようとするが、バチッと音がなり弾かれる。
「やっぱりね……恐らくそれは一昨日君が乗っ取られた呪霊の力が込められた指輪だ。同じ呪力が込められている。」
「じゃあこの指輪を外すことが出来れば!」
「いや、恐らく解呪とはならないだろう。本体はまだ君の中にいるようだ。」
この上げて落とされる感じはとても嫌だった。
僕はこの呪いに弄ばれているのか?
「まぁ、長い目でやっていこうよ。いつか解呪出来るようになるさ」
五条さんは手をパンパンと鳴らし、椅子から立った。
「それじゃ行こっか。学校に!」
「……へ?」
五条さんに連れられて来たところは呪術高専の教室だった。
「おはよー。元気かな?伏黒くん!」
この中に一年生の伏黒君がいるのか?
「なんすか……五条さん……」
中には黒髪の無口そうな青年が立っていた。
「いや、転校生来るって言ったじゃん?連れてきたよ!」
「ど、どうも……一条Aです……」
頭を下げたと同時に頭の上を何かが通り過ぎた。
40人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ハクスイ | 作成日時:2019年7月2日 5時