第四話 ページ5
縄が外され、閉じ込められていた部屋を出ると木目の床が一直線に繋がった道に出た。
明かりは左右にロウソクがいくつも並んでいて、道を照らしている。
「それじゃ、行こうか」
五条さんはそう言うと少し薄暗い道を歩き出す。
僕もそのあとをついて行く。
床がギシギシと音を立てて、気味悪さが際立っていくが、普通こういう所には必ず霊がいると思ってたけど……ここには居ないらしい。
「残念だけど、ここには君の知ってる霊の類は出ないよ。強い呪いは別だけどね」
僕の心を見透かしたように話しかけてくる。この人はエスパーの類かなにかか?
「強い……呪いですか?」
「そう。君もその体質なら怨霊ぐらいなら見たことあるんじゃない?」
「怨霊って……なんか形が気持ち悪い奴らのことですか?目がひとつだったり……」
「まぁそんな感じだね!僕達はそれを呪いと呼んで祓っているのさ!それが呪術師。そして、その呪術師を育て、サポートをする機関が東京と京都にある呪術高等専門学校。通称呪術高専。」
「そうなんですか……」
けど、人を殺してしまった僕が学校なんかに通ってもいいのか……
どうやってあの人達の家族に償ったらいいんだ……
僕は確かに暴力を振られはしたけど、それを殺しの理由になんかしちゃいけないっ……!
「どうやってあの男達の家族に償おうとか思ってる?」
「っ!?……はい……」
また思ってることを当てられた……
「何度も言うけどね、あれは君のせいじゃない。君に取り憑いた呪いのせいだ。君が気に病むことじゃない。」
違う……呪いに乗っ取られたのは僕の心が弱かったからだ……僕がもっと強ければ死ななかった……
「……僕がもっと強い心を持っていれば……あの靄にも勝つことが出来たんです……あの人達が死ぬことは無かったんだ……」
「そんなもん無理な話だよ。君は確かに常人離れした呪力を持っているが、それは向こうも同じ。無数の呪いを喰らった呪霊は僕でも制御は難しいだろうよ。そーゆう代物を君は今内に宿してる。正直、君が今正気を取り戻しているのも奇跡に近い。」
「……そんなもの言い訳にもなりません……」
「……はぁ……最近の若人は根暗だね。じゃあ簡単に言ってやる。お前がその化け物みたいな呪いを制御出来るようになれば、呪い殺される人達は確実に減る!お前の力でこの世の中で困ってるヤツらを救える!それぐらいの力をお前は持っている。強くなれ!」
五条さんの言葉が僕の胸に強く響いた。
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作者名:ハクスイ | 作成日時:2019年7月2日 5時