第二話 ページ3
｢ところで、話ってなにかな？｣
裏庭についた時に先導していたリーダー格の一人に話しかける。
すると、リーダー格は僕の胸ぐらを掴み、壁際に僕を押し詰める。
｢てめぇ……なんで椿ちゃんを振った…！？｣
あぁ…その事か……椿ちゃんとは恐らく、一昨日僕に告白してきた女子の事だろう。
向こうは僕の事を知っていたらしいが、僕は彼女の事を知らないし、なにより僕の周りに居ると霊達がちょっかいをかける。
それは霊によっても違うが、物によってはちょっかいで済まない場合がある。
その事もあって、僕は彼女を振った。僕は君のことを好きじゃない。だから付き合えないと言った。
振り方が悪かったのか？だからこのDQNは怒っているのだろうか？
｢ごめん。君がなぜ怒ってるのか分からないんだけど…椿さんとは普通に付き合えないと言っただけだよ？僕は酷いことをしたつもりは無いんだけど……｣
僕は先程と同じように笑顔を浮かべるが、DQNにはそれがカンに障ったらしい。
｢てめぇ……その寒い薄ら笑いやめろや！｣
僕の左頬にガツンと衝撃が走った。
DQNに殴られ、口の中は一気に血の鉄臭い匂いで広がる。
その衝撃で倒れ込むと先程まで何もしていなかった二人のDQNが間髪入れずに腹に蹴りを決め込んでくる。
肺の中の空気が一気に抜け、みぞおちに入ったせいで息がうまく吸えなくて、呼吸が苦しくなる。
背中に壁があるせいで衝撃がモロに腹に響く。
殴られ、蹴られ、何故僕はこの名前も知らない三人にボコボコにされてるんだ？
まだ振った彼女にこんな事をされるのは百歩譲ってわかるが、こいつらは無関係だろう。
なんで人間はこんなにも醜いんだ……少年少女の時はみんな純粋無垢な人間なのに……歳をとるだけでこんなにも醜くなるのか……
憎い……憎い、憎い、憎い、憎イ、にクイ、にクイニクイ、ニクイ、ニクイ、ニクイ！
目の前が怒りで真っ赤に染まっていく。
その時、今まで一定の距離まで近寄って来なかった黒い靄が僕の身体に纏っていく。
身体を乗っ取られ、もう身体の支配権は僕には無かった。
精神はもう、黒い空間の底まで沈んでいく。
最後に見えたのはグチャグチャになっていく、三人のDQNとその後ろに見えた、眼に目隠しをした人だった……
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頭がクラクラする……頭痛が酷い……ここはどこだ？
｢おはよう。一条Aくん｣
｢あ、貴方は……？｣
｢五条悟……呪術師さ！｣
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作者名：ハクスイ | 作成日時：2019年7月2日 5時
