第十六話 ページ17
「君が今、ここで諦めて死ぬのなら僕は止めない。すぐに殺そう。けどね、人々を他の呪術師よりも守れる力を持った君がそうやってすぐ諦めるのなら僕は怨む。誰も君を責めなくても、僕は君を怨み、呪う」
人々を守る力……僕に?守れるのか?
「強く……強くなれますか……僕も五条さんのように……大事な人達を守れますか!?」
「あぁ。そのために僕達がいる。君は……必ず強くなれる」
その言葉はあの日、あの部屋で聞いた時よりも僕の胸に強く、強く響いた。
「禪院さん……僕強くなります……絶対に皆さんに迷惑をかけません!だから……もう一度僕の特訓に付き合っていただけませんか」
「……あぁ。もちろん。それと私は苗字で呼ばれるのが大嫌いなんだ。名前で呼べ。」
「ありがとうございます!真希さん!」
「……おう。」
その時、真希さんは綺麗でとても眩しい笑顔で笑った。
僕は絶対に傷つけさせない。絶対に呪霊にも負けない!最強の呪術師を目指すんだ!
・
・
・
あの日から二ヶ月が経ち、6月初旬。僕はあれからずっと真希さんに呪具の扱い方を教えて貰った。
頭で考えては真希さんと手合わせをして身体に覚えさせていく。
木刀での素振りも毎日欠かさなかった。
おかげで手は痛々しく、豆だらけになったが、強くなっていくのを感じる日々だ。
呪力の扱い方は五条さんの手が空いた時に教わった。
乙骨さんにも教わりたい事があったが、あの日から乙骨さんの姿はあまり見ない。
見てもすぐに任務に出かけている。やはり特級呪術師は忙しいのだろう。
僕も1ヶ月ほど前から真希さんやパンダ先輩、五条さんと一緒に任務に出かけることが多くなった。
最近では単独での任務も多い。
しかし、単独といってもせいぜい準一級の呪霊を祓うくらいで、特級呪術師としてはまだまだ力不足だ。
最近、伏黒君は両面宿儺の呪物を取りに行く任務に行った。
ここ二ヶ月、呪具の鍛錬を欠かさずに行なってきた結果、盾は丸く変形し、中と外の空間を全くの別空間にする技を覚えた。これは僕は絶とよんでいる。
それと黒刀は名前を呼ぶと自然と指輪から変形しすぐに戦闘態勢に入る方法を手に入れた。
刀の名を黒影。安直だが、真希さんが付けてくれたのでめちゃくちゃ気に入っている。
鎖鎌は蜘蛛の糸のように周りに張りめぐらせると敵を感知、即捕縛出来る技が出来るようになった。
だが、黒い御札の効果は未だに分かっていない……
40人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ハクスイ | 作成日時:2019年7月2日 5時