第十話 ページ11
寮に着き、伏黒君は先に部屋に戻り、僕も部屋に着いた。
呪力も回復したし、一度中指の指輪の力も試してみよう。
指輪に呪力を込め、指輪の形が変形していく。
左の指輪は鎖鎌、右の指輪は黒い御札のようなものに変形した。
｢鎖鎌に……御札か……｣
正直、この2つは使い道がよくわからない。
鎖鎌はまだ使い道があるかもしれないが御札に関しては謎だ。
なにも書いてない真っ黒な御札など初めて見た。
変形を解き、元の指輪に戻す。
変形を解く時に指輪が外れるのかと最初は期待したが、黒い靄のようになって指に巻きついた後に指輪に変型する。
もちろん指輪が外れるようになるはずもない。
｢はぁ……本当にこの呪いは解呪できるのか…？｣
もしかしたら一生この呪いと付き合っていくんじゃないかと暗い考えが頭をよぎる。
けど、この学校にきて初めて友達ができた。
そう考えれば、この呪いには少しだけ感謝できる。
けど、人を殺してしまった罪は消えない。
｢強く…強くならなきゃ……それが僕の使命だ。｣
そう自分に言い聞かして心に刻む。
何時間ぐらい立っただろう…風呂にも入って自室で今日習った呪術師としての基本をノートに書き写しているとドアからノックが聞こえた。
｢はーい？どちら様ですか？｣
ドアを開けると黒髪の目に少しだけ髪のかかった優しそうな男の人が立っていた。
｢やぁ…君が一条くんだね？｣
｢はい…一条Aです。あの、失礼ですがどちら様ですか？｣
この男の人はなぜか目を奪われそうになるほど、不思議なオーラで溢れている
｢僕は乙骨憂太。五条さんから話を聞いてちょっと気になって顔を合わせてみたいなと思ってね｣
｢貴方が乙骨さんですか！？特級呪術師って聞いてたからもっと怖い人だと思ってました……｣
｢ははっ…それは君もだろ？似たもの同士、仲良くしようね。｣
乙骨さんの目は優しそうで表情もやわらかかった。
彼の優しい笑い声はこっちも優しい気分になる
｢はい！よろしくお願いします！｣
｢ちょっと話をしないかな？中に入ってもいい？｣
｢は、はい！散らかってますけど、どうぞ！｣
中に案内すると乙骨さんは失礼しますと言い、綺麗だとかいい匂いがするとか小っ恥ずかしいことを小さな声で言っている。
乙骨さんは椅子に座り、僕はベットに腰をかける。
｢一条くんは呪いにかけられてるんだよね？｣
｢は、はい……｣
｢それって、もしかして知人の死んだ人じゃない？｣
｢えっ……？それって……？｣
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作者名：ハクスイ | 作成日時：2019年7月2日 5時
