第二十話 ページ21
なんだ!?この嫌な感じ……呪いの気配はこの人じゃないな……
「そうですけど……誰ですか…貴方」
「私は夏油傑だよ。教わってないかい?」
夏油傑……!?たしか五条先生が言ってた新宿と京都の百鬼夜行が起こった時の起こした張本人!
「貴方のような敵の親玉が僕に何の用ですか…?」
さっきの大きな気配…一定の距離を保ってこっちに近づいてこない…?
「いやね、私のペット達をこうも全員殺されると私も傷つくんだ…だからね君に最高の遊び相手をあげよう。」
その瞬間僕は顔に衝撃が走ったと思うと一瞬で吹っ飛ばされた。
木の幹を僕の身体が何本もなぎ倒し、木が倒れていく。
何本目かの所で身体を打ち付けられようやく止まった。
なんだ!?何にやられた!?あいつの術式でも喰らったのか!?
肋骨が折れたのだろう……いつもより息がしにくい……鼻も多分…折れてる
呪力の篭ったものを素でもらったらそりゃこうなるか……
前を見ると、夏油はなにもせずさっきの場所から動いていない……だが、先程は居なかった化け物が目の前に立っていた。
さっきからバカでかい呪力の気配はアイツか!
一回瞬きをした瞬間、その化け物は目と鼻の先まで近づいていた。
速っ!?
瞬時に盾を出し、化け物の攻撃を塞ごうとするがそのまま盾ごとまた吹っ飛ばされてしまう。
なんていうパワーだよ……ただのパンチでこれか!?
そう。化け物の打撃に呪力は篭っていなかった。
「それはこの森で私が作った特級仮想怨霊だよ。まだ試作品で、完璧とは言えないけどね!」
これで不完全!?これが、特級の呪霊の力か…!?やっぱり今まで戦ったどの呪霊よりも強い…!
そのまま化け物は僕との距離を一気に詰めてくる。
今までの攻撃をみるに、この化け物は直線的な攻撃が多い!
「出てこい!黒影!」
居合の構えを取り、化け物のパンチが繰り出されるのを待つ。
化け物は勢いのまま右拳を振り上げ、僕の顔目掛けてパンチを繰り出す。
そのパンチを寸前で左に避け、相手の右脇腹から左肩めがけて斬る。
だが、右脇腹に入った途中で刀身が止まる。
呪力を込めた刀でも、化け物が切れない。
「くっそ硬ぇーなっ!」
腹に化け物の蹴りを喰らい、また吹っ飛ばされる。
ダメだ……出てきちゃダメだ……君が出てくると僕じゃとめられない。
頭の中で懐かしく感じる声が響く……暖かくて、安心する声……まるで母親のような……
「もう……いいか……」
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作者名:ハクスイ | 作成日時:2019年7月2日 5時