Miles away (ページ3)

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剛side ページ3

彼といる事が多くなった頃、

初めてのドラマ。

だけど、それはとても肉体的にも、

精神的にも追い込まれるドラマ。

｢人間失格、たとえばぼくが死んだら｣

怖かったと、

誰にも言えるような言葉だけじゃなく、

あの恐怖を、誰一人にも

一生味わって欲しくないなと

思ってた。

｢大丈夫か｣

休憩時間にたった一言。

でも彼の声が一つの癒しで。

俺は今日も頑張れる。

そう思ってた。

失敗した怪我とか、

一つの経験やと思いながらやってた。

沢山の共演陣の中。

男性に紛れる女性のキャスト。

｢剛くん？何かあったら言ってね｣

｢あっ………は、はい…………。…………｣

女性には極度に緊張する。

あまり喋らない性格か、

周りのキャストを眺める事が好きなのか、

人と話すことが苦手だった。

その中で、

彼を見つけると

何か心の拠り所となるのか、

安心する。

今日もちゃんといてくれてる、と。

オールアップの頃、

沢山の人にお世話になったなと

色々思い出していると、

クラスメイトになる子や、

教師として相手となる人から

沢山の言葉をいただいた。

｢辛かったろうに｣

殆どの人の言葉。

｢お前と出来て良かった｣

彼の言葉。

やっぱりほっとした。

気持ちがいいと、

心が言う。

好きや、とか

言ったことないねんけどな。

恥ずかしいな、だなんて。