七話 増田 ページ7
でも、手越は掘り下げられるのも深く追求されるのも苦手だ。
つまり、詳しく聞き出そうとして色々質問するのは逆効果…もう話そうとしなくなる。
それを避けるために、「何かあれば言ってよ。」と釘を刺す。
その時、手越は少しだけ微笑んだ気がした。
笑っちゃうこと言ったっけ?と自分の台詞を思い返しながら、自分の荷物のもとへ歩き出す。
しかし、どうしても考え込んでしまった手越が心配でファッション雑誌を読むふりをして手越を目で追った。
すると、手越は手で喉を抑えて大きく頷いていた。
……いやあれは嚥下していた。
(喉……?風邪か?)
そう思えば、荷物を起き「慶ちゃん〜!!」と言い、ちょっかい出しに小山の元へ行った手越。
(声は…大丈夫そうだな。)
とさり気なく確認し、ファッション雑誌を本格的に読み始める。
しかし、また引っかかるものを思い出す。
それは、ファッション雑誌のあるページにあるこれからの季節、かっこいい上着を!と書かれた文字で…。
今日は上着もいらないくらい暖かい日なのに手越が上着を持っていた事だ。
そして、今小山と遊んでいる手越を見れば、さっき持っていた上着を着ていた。
(おかしい…。)
ファッション雑誌は視界に入れているけど、頭に全く入らず…。
どれだけ手越について考えていたのか、俺は
「NEWSの皆さん!おまたせしました!そろそろ始めますね!」
と、スタイリストのスタッフさんに呼ばれたことで、ここはロケ地だと気が付き上着の特集を最後に雑誌を閉じた。
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作者名:向日葵 | 作成日時:2021年3月13日 21時