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一話 手越 ページ1
「ゴホッ…クッ…コホッ………ゴホッゴホッ…。」
少しだけ秋に近づいてきていると感じるようになったある日の朝。
俺は目覚まし時計ではなく、自分の咳によって目を冷ました。
昨日は、夜中に生放送があったため寝不足だ。しかもそんな中、咳で一時間も早く目覚めてしまうのは最悪な状況だった。
もう一度寝ようかと布団に潜り込むが、しっかり目覚めてしまったのか全然寝付けない。
体勢を変えてみれば、「ゴホゴホゴホッ…!」と咳が止まらなくなって余計に寝付けない。
俺はこの咳が風邪と思いたくない。
風邪は芸能界という業界に入れば色んな人に迷惑をかけてしまう。
そう簡単にも休める仕事でもない。
あ〜！ネガティブになるなんて俺らしくないよね！と自分の思考を改めたとき……ピピピッ！ピピピッ！とベッドのサイドテーブルに置いてある目覚まし時計が鳴った。
朝というのは時間がとても早く感じるものだ。少し考えてたつもりだがもう一時間も経っていたんだから。
「よし！行くか〜！ケホッ……」
ネガティブを無理矢理言葉で無くして、布団から出る。
そうすると少し肌寒く感じ咳も出たが、目眩もしないし体も熱くなく咳だけと重症ではないことが分かった。
(全然大丈夫しょ！)
そうなれば安心し元気よくエマちゃんのお世話をし、少し準備は遅れたがマネージャーが来るまでいつものモーニングルーティーンをして過ごした。
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作者名：向日葵 | 作成日時：2021年3月13日 21時
