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39の冒険 ページ39
「治らない…！」
何を歌えばいい
何を歌えば助けられる
母の子守唄を繰り返しながらそればかり考え
挙句の果てには涙声になってしまう
「並べ枕の 月夜の夜には 蛙(かわず)の声も…」
一度だけ、母が歌ってくれた覚えがあった
「泣くな 夜明けの鳥よ 泣くな
そなたの声を思い出すから」
段々と心が落ち着き、心を込めて歌う
「眠る吐息に 朝霧踊る
今宵も眠れ 愛しきそなたよ」
歌い切った途端、私の意識はなくなった
セブルスside
「どういうことだ……」
自分の首は、ナギニの牙で食いちぎられたはずだ
衣服の千切れ具合と血がついていることから傷がないことに驚きを隠せない
何より、危なっかしく幼なじみの彼女にとても良く似た少女が横たわっていた
「A……A！！」
吐血したのだろう、口の周りに赤い血がついている
口元を拭ってやり、少しでも力を入れてしまえば折れてしまうほどの身体を慎重に抱きかかえて走る
傍から見れば走れてないかもしれない
歳のせいだろう
すぐに息が上がり、苦しくなる
それでも走るのは
一刻も早く彼女をあの場所へ連れて行くことが最適解だと考えたからだ
以前、世間話のように気にした風でもなく魔力切れなら実家の近くの森が回復が早いと言っていた
もうすぐで校門につくところで、大勢の人とハグリッドに抱えられているあの子がいた
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作者名：いちごのほっぺ | 作成日時：2020年10月20日 19時
