されどこの手は届かない。【五色工】 (ページ5)

今日:1 hit、昨日:5 hit、合計:8,595 hit

恋 4 ページ5

しばらく日が経った頃だろうか

俺はちょっとずつAと相談に乗っていた

『そしたらね！賢二郎ふーんだけなの！酷くない！？』

ぷんぷんと怒るのはAだ。

こう見えて子供っぽいところもあったんだなぁ…と思い思わず笑みが零れる。

あ、笑ったでしょ！？と言う。

この時間が案外幸せだったりする。

俺の気持ちは言えないままだけど

『そういえば私の相談ばっかだったね、工君の好きな人ってどんな人なの？』

「それは、あ…」

あっぶない…あなたですって言いそうになった。

『性格は？どんな人？』

「えっと…」

少しの間が空く。

「いつも元気で笑顔でとっても優しくて、俺が悲しい時元気づけてくれてとってもいい人だな…。」

今の俺じゃ付き合えないけどと言って静かに笑う

『…んなっことない！！』

「んえ？」

『だって！！』

とAが口を開く。

『工くんはこんなに優しいし、相談とか愚痴とか黙って聞いてくれるんだよ！？こんな優しい人あんまりいないよ！！それにまだ決まってないし！！付き合ったらまぁ…とにかく決めつけちゃまだダメだよ！！』

息を整えてふぅ…と言うA。

なんか少しだけ元気が出た。

「…ありがとう。なんか元気出た！！」

と背伸びをして手を伸ばす。

パーンと頬を叩く。

『つ、工くん…！？』

「A俺頑張るよ。恋も部活も」

『…！！うん！！』

絶対振り向かせてみせる。

だから少しだけ待ってて。