甘いだけじゃ物足りない【ツイステ】 (ページ5)

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結局しつこいほど付き纏っていた彼がいなくなるだけで私の心はこんなに冷えきってしまうのかと思うとだいぶ絆されていたことに気づく。

今日はもうこのまま会えないのも私の腑に落ちないので、オクタヴィネル寮へ行く鏡を通り、ジェイド先輩かフロイド先輩がいないか探す。

きょろきょろと周りを見回していると、後ろからズシッと重たいものが乗ってきた。

お目当ての人物が自ら来てくれたので、探す手間が省けたというものだ。

「あはっ、Aちゃんじゃーん
こんにちは、今日はどうしたのぉ？」

「フロイド先輩こんにちは、アズール先輩はいらっしゃいますか？」

私がアズール先輩の名前を出すと、フロイド先輩は分かりやすく顔を歪ませ

「アズール今日熱出ててグズってるよ
何日も寝らずに色々してっからこうなるんだよ」

と言っていた。

先輩本当は心配してるくせにそんな言い方するんだ、これは怒ってるな…。

火に油を注がないように、アズール先輩の部屋まで案内してもらい、対価としてたまたま持っていたペパーミントキャンディを3つ差し出した。

子どものように喜びながらラウンジの方へ足を向ける彼を見送り、目の前の扉をノックした。

中からの返事はなく、勝手に入るのは如何なものかと思いながらもゆっくりドアを開けて入る。

「アズール先輩…眠ってらっしゃる… 」

大きな一人部屋にある大きなベッドにスヤスヤと眠る先輩の姿、よく見ると目元には隈があり、私は毎日近くにいながら気づけない自分に苛立ちを覚えた。

それと同時に視界に入ったのは、恋に関する書物や、お弁当の作り方などが書いてある本。

私のためにここまでしてくれたのかと思えば、胸が暖かくなってほわほわした。

きっと私は気づかないうちに先輩に恋をしたのだろう。

不器用ながらに私に全ての時間を費やしてくれていた彼に愛おしさが込み上げてきて、頬にキスを落とした。

早く元気になってまた私のところに来てください、いつまでも待っててあげます。

ちゃんとあのふざけた告白の返事もしてあげます。

でももう夜更かしなんてしないでくださいね、今日私とても寂しかったんですから。

まあ、そんな事頼まれても言ってあげないですけどね、ざまあみろ。

未完成な恋の形___Fin