わたしの命、残り僅か【地縛少年花子くん】 (ページ5)

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52話ページ5

まずは敵を知ることから始めようと思った私は花子くんに好きな食べ物や天体の知識を聞いてみた。

好きな食べ物は同じだし、天体に関しても申し分ない。

抓ってみても感覚はあるみたいで痛いと言われるし、移動中彼が浮く事は無かった。

寧々ちゃんの足首について触れてみても、何も言わずって感じ、本人だったら絶対に太いだの大根だの言っていたはずなのに…。

色々考えていれば4限目の体育の時間になっていた。

急いで校庭まで走り、準備体操をして、400mを走る。

アオちゃんがタイムを計ってくれているので、何も考えずにさっさと終わらせようと思って走り出す。

「寧々ちゃん1分15秒！
Aちゃん1分23秒！」

「寧々ちゃん相変わらず足速いね」

「うーん、よく分かんないや」

そう言う寧々ちゃんを横目に私は手洗い場までやってきた。

花子くんが何故生きてるのかが分からない、どれだけ考えても答えは出てこなくて、もしかしたらここが現実で向こうが夢なのでは…？と考えたりもする。

そんな私の異変に気づいたのか、寧々ちゃんとアオちゃんが声をかけてきてくれた。

2人にちょっとした質問をしようと思い、口を開く。

「ねえ…、本当に花…、
あまねくんって前からうちのクラスにいた？

2人とも本当にあの子のこと知ってるの？」

私の質問に親友たちは顔を見合せたあと、花子くんもとい柚木あまねくんについて説明をしてくれた。

柚木あまねくん、地学が得意で隣のクラスに双子の弟くんがいる。

サッカーをしている男子を見ていると、花子くんがちょうどゴールを決めているところだった。

笑った顔は彼と何ら変わりない。

「背は低いけど意外と運動神経よくって… 」

「ちょっとカッコイイよね♡ 」

「うーん… 」

何か寧々ちゃんがこうも素直に花子くんを褒めてるところを見ると嫉妬より先に違和感がやってきてしまう上に、アオちゃんから花子くんを褒める言葉が出てきてしまうことにショックを覚えた。

先程と全く変わらず、頭を悩ませうんうん唸っている私にお構いなしに2人が、あ！と声を上げた。

何だ何だと視線をそちらに向ければ、何故かこちらに来る花子くん。

戸惑う私を他所に、花子くんは私の目の前に止まると、両手をコッチに寄越せと言いたげなジェスチャーをする。

彼の言う通りに両手を上げてみればハイタッチさせられたではないか。