45話 ページ47
午後のプログラムも終盤に差し掛かり、ようやく私の出場種目である、借り物競争が始まろうとしていた。
青団の後ろの方には光くんが並んでおり、私と目が合うと犬のような表情を見せながら手を振ってくれたので、私も小さく手を振り返した。
どんなお題が出されるかも謎のまま、緊張も中々解れず、ついにピストルの音が鳴った。
「 第1走者、ただいまスタート致しました！
お題箱に最初に辿り着いたのは赤団です、さて、お題はなんでしょう！？」
バクバクと鳴る心臓の音と、キャーキャーと聞こえる生徒テントからの声援。
重なり合ったこの音はどうも騒音にしか捉えられないようで、私の気分は解れるどころか悪化していっていた。
応援合戦の時はここまで緊張しなかったのに、なぜ今になって体調を崩してしまいそうなほどの緊張感が押し寄せているのかが理解出来ず、とうとう私の番まで来てしまった。
「 位置について、よーい… 」
白線に沿って1列に並び、選手はみなクラウチングスタートのポーズのまま、ピストルの音が鳴るのを待っていた。
パァンこれを合図に一斉にスタートを切り、お題箱まで全力で走る。
最初に着いた私はお題箱から紙を1枚引き、折りたたまれている紙を開くと、そこには " 同じクラスの人のメガネ " と書かれており、ほっとした。
私の後に引いた人は " 私服がダサい人 "と何とも言えないお題を引いていて、心の中で応援した。
「 ねえ、茜くん、お願いがあるんだけど…！」
「 え、嫌ですけど？」
「 ぶん殴るぞ 」
こんな茶番してる間にリードしてた差が縮まったらどうしてくれるんだと不機嫌そうな顔をしてみれば、渋々私のお題を聞いてきた。
紙の内容をそのまま伝えれば「 絶対に嫌なんだけど？」と腹立つ顔をされたので、アオちゃんにボソッとお願いすれば、恨めしそうな顔をしながらも無事メガネを手に入れることが出来た。
茜くんのメガネになるべく指紋がつかないように持って、走ってゴールテープまで行く。
引いたお題の紙と、茜くんのメガネを渡せば無事クリア、1位でゴールすることが出来た。
お題で借りた物は体育委員の方々や、先生たちがコソコソと返してくれているため、私は1の旗が立っている所に座って、競技が終わるのを待った。
ポケーっと待っていると、光くんがこちらに走ってきていて、借りた物持ってきてるのかと思えば、私の手を引いてゴールまで連れて行かれた。
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人参ぱんつ(プロフ) - yamiさん» お返事遅くなってしまい申し訳ありません、とても嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張らせていただきます！ (2020年8月21日 18時) (
レス) id: a7aebfbb6e (このIDを非表示/違反報告)
yami - 凄く面白いです！更新頑張って下さい。 (2020年7月28日 12時) (レス) id: 0abcc7321c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：人参ぱんつ | 作成日時：2020年4月22日 1時
