37話 ページ39
何となく誰かに甘えたくて、つい旧校舎3階女子トイレ付近まで来てしまった。
あんな事があって花子くんとは少し顔を合わせにくいけど、今はそれより自分の痛心を癒したかった。
トイレに入ろうとした時、中から花子くんと光くん、そして先程まで教室にいたはずの寧々ちゃんまでもがいた。
「 ねえ、花子くん、Aちゃんの願い事叶えたならもう近くに置かなくてもいいと思うの
だってあの子何も出来ないし私あの子嫌いだし 」
「 俺、ヤスミを別に好きで置いてるわけじゃないんだけど…
でもヤシロが嫌だって言うなら俺はヤスミを拒むことできるけど?」
「 いや、それは俺がやる!
俺も正直安見先輩のあの変なテンションついてくのしんどいんすよね
八尋先輩、俺に任せてください!」
私は何処にも居場所なんてなかったんだ、最初から要らない存在だったのか…。
本当はみんな記憶があって、私の知らないところでおしゃべりして、私のいないところで楽しく過ごして、私が知らない内に寧々ちゃんと花子くんは付き合ってて…。
光くんは私のテンションうざったく感じてて、話す度に疲れるなって思っていて、私がいる間のトイレ掃除にいつも遅れてるのは私と会いたくないからなんだ。
親友だと思ってた子たちには嫌われてて、想い人と後輩には鬱陶しがられていた。
居場所だと思っていた場所は本当は違っていて、私は誰にも必要とされていなかった。
もう何も考えたくなくて目を閉じた。
ハッと目を覚ますとそこは見慣れた自室の天井で、先程のは夢なのか現実なのか曖昧だったが、今日私は学校に行ってないことを思い出せば、夢だということに気づいた。
「 ゆ…め、よかった…、のかな…?
こんな夢二度と見たくない…!」
じわりと滲んできた涙を服の裾で雑に拭い、悪夢のせいで汗だくだったので、シャワーを浴びて着替える事にした。
だいぶ落ち着いてきて、寝る前には熱も37.2℃と少し下がり、明日には引いているだろうとのことで、明日は学校に行くことにした。
次の日の朝、念の為熱を測ると、見事平熱まで下がっていた。
のんびり歩いて校門を通り過ぎようとした時、白杖代が勢いよく突進してきて、びっくりした。
その後私の周りをクルクルして時たま旧校舎の方へ揺れるため、旧校舎に行けと言う事なのかと疑問に思いつつも私は教室に向かうことなく、トイレへ向かった。
トイレに着けば花子くんが涙を滲ませた顔で私に抱きついてきて、謝ってきた。
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人参ぱんつ(プロフ) - yamiさん» お返事遅くなってしまい申し訳ありません、とても嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張らせていただきます! (2020年8月21日 18時) (レス) id: a7aebfbb6e (このIDを非表示/違反報告)
yami - 凄く面白いです!更新頑張って下さい。 (2020年7月28日 12時) (レス) id: 0abcc7321c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:人参ぱんつ | 作成日時:2020年4月22日 1時