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36話 ページ38

辛い、こんなの醜い嫉妬ってことは重々理解しているが、やはり好きなものは好き、耐えられない。


悪い怪異から護ってくれるためだけのキスってことも分かってる、私を通して寧々ちゃんを見ているってことも、私に『 花子くん 』なんて呼ばせるのも寧々ちゃんの代わりとしてだってことも。


抱きついてくるのも、甘い笑顔を見せてくるのも、頭を撫でてくれるのも全部全部 " 私自身 " を見てくれていないから。


彼の一言一言に気持ちをコロコロと左右されて、1人で舞い上がって、滑稽だ。


「 さいってい…、勝手に期待して勝手に舞い上がってたくせに、大好きな親友をここまで妬むなんて…

本当に最低だ、私… 」


ベッドの上に丸くなって、その日1日は寝ることも食べることも出来ず、ただトイレとお風呂を済ませただけ。


途中心配してくれた母が私に飲み物を何度か渡してくれたが、それも少ししか喉を通らず、結果体調を崩してしまった。


結局私は体調が優れるまで学校を休むことに。


「 はぁー、熱は37.6℃か、微妙にキツいし…
色々考えちゃってもう寝れないよ… 」


目を閉じる度に私を見つつもあの子の名前を呼びながら愛おしそうな表情をする彼が脳裏に浮かぶ。


それが今の私にとっては大ダメージで目を閉じる事でさえ嫌になっていた。


「 …、睡眠薬まだ残ってたかな 」


リビングへ向かい、不眠症を患っている母の睡眠薬を薬箱から漁り、1粒手に取った。


これ大量に飲めば自分は永遠に眠れるのだろうかなんて普段の私であれば絶対に思わない事をぼーっとした頭で考えてしまう。


しかし、そんな勇気もあるはずがなく、大人しく1錠飲んで布団の中へ潜り込んだ。


昨日1日眠っていないだけあり、結構直ぐに眠ることが出来た。


「 あ、アオちゃん、寧々ちゃん…?
何話してるんだろ… 」


教室の花に水やりをしながら親友2人が話していたため、近くに寄って声をかけようとした。


「 ねえ、寧々ちゃん、私Aちゃん前から少し苦手だったんだけど、今はもっと苦手って言うか…

最近話しかけられると少し億劫になっちゃうの 」


「 葵も同じこと思ってたの?
私もAちゃんが席後ろだから嫌でも話さなきゃなのよねー…

席離れたら絶対話さないのに 」


「 う…そ…、優しいアオちゃんと寧々ちゃんがそんな事言うわけ… 」


2人の言葉を信じられなくて、自分の耳を疑ったが、教室にいるのも嫌で私は旧校舎まで走って逃げてしまった。

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人参ぱんつ(プロフ) - yamiさん» お返事遅くなってしまい申し訳ありません、とても嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張らせていただきます! (2020年8月21日 18時) (レス) id: a7aebfbb6e (このIDを非表示/違反報告)
yami - 凄く面白いです!更新頑張って下さい。 (2020年7月28日 12時) (レス) id: 0abcc7321c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:人参ぱんつ | 作成日時:2020年4月22日 1時

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