30話 ページ32
前の席に座る親友の肩をちょんちょんとシャーペンでつつき、ノート写させてとお願いした。
「 珍しいね、Aちゃんがノート取り忘れるなんて
何か考え事？」
「 んー、何か今日あんま授業が頭に入らなくて、ついぼーっとしちゃってた 」
「 もう、仕方ないわねー！
今度アイス奢りよ？」
「 えー、まあ、借りはちゃんと返すよ！」
トホホとお財布の中身を見ながら返事した。
あれから私たちは今まで起こっていたことが嘘であったかのように平凡な日常を送っていた。
花子さんは友だちっぽく呼んで欲しいからって理由で花子くんと呼ぶようになったし、光くんとも前よりたくさん話せるように。
光くんに寧々ちゃんの記憶がなくなったことを話せば若干取り乱してはいたものの、花子くんから何かを言われた後、チラッと私を見て静かになった。
何を話したのか聞いたけど教えてもらえなくて、結局その話をする人はいなくなってしまった。
いつも通り、放課後に旧校舎のトイレに向かおうとした時、旧校舎と現校舎を繋ぐ廊下に花子くんが立っていた。
この時間はいつもトイレで私たちを待ってるはずなのに珍しい…、服もいつもと違うし、花子くんじゃないのかも…そう考えながら隣を見えてないフリして素通りしようとすれば、花子くんに似た人に突然手を掴まれた。
「 ひぃっ！？」
「 やっぱり、君俺の事見えてた！
俺つかさ、あまねのとこまで案内してよ！」
いや誰…貴方がつかささんなのは分かった、あまねって誰、聞いた事あるけどよく覚えてない。
「 あまねって…？」
「 あれ、君じゃないの？あまねの新しい助手 」
そう言われてピンと来たのは花子くんだった。
素性もしれない奴を花子くんのとこへ案内するのは流石に危険か？と思い、知らないフリを貫き通そうとした。
首元にヒヤリとした何かが触れたと分かった瞬間、ギリギリと首を絞めあげた。
息をすることも声を発することも出来ず、ただ無駄な抵抗をするだけ。
「 知ってるよね？
君からハクジョーダイの気配がするもん 」
光の射すことのない深い黒の目でこちらを見つめながら笑う彼に返事などできる訳もなく、私の命もここまでかと諦めかけた時、大好きな後輩と愛しの人の声が聞こえた気がした。
手を離されて自分の力で立つことなど叶わず、床に身を預ければ、突然入ってくる酸素に体が驚き咳き込んでしまう。
苦しみにもがく中、私の意識はゆっくりと闇へ落ちていった。
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人参ぱんつ(プロフ) - yamiさん» お返事遅くなってしまい申し訳ありません、とても嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張らせていただきます！ (2020年8月21日 18時) (
レス) id: a7aebfbb6e (このIDを非表示/違反報告)
yami - 凄く面白いです！更新頑張って下さい。 (2020年7月28日 12時) (レス) id: 0abcc7321c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：人参ぱんつ | 作成日時：2020年4月22日 1時
