検索窓
今日:4 hit、昨日:5 hit、合計:38,638 hit

23話 ページ25

光が花子に返せと手を伸ばし、間合いを詰めると、花子は雷霆杖を光の足元へ突き刺し、バランスを崩したのを見計らって、彼の右手を背中に押付け床へ叩きつけた。


その体制のまま、カコへ声をかけて、ミライが脱走する前の朝まで時間を戻すよう請求する。


「 まー、身内の不祥事じゃからのぉ

…久々に大きく動かすとするかの 」


時計を片手に、コンコンと杖で2回床を叩き、カチコチと鳴る時計の音と共に学園を覆うような大きな時計盤が現れた。


「 この音… 」


「 おじーちゃんは時間を巻き戻せるのよ

だからザンネンだけど、今日のことはぜーんぶなかったことになるの 」


ねじ伏せられている光の疑問に対し、ミライが答える。


ミライの回答に光は、それってまさか、俺の記憶も…と何かを察したように問えば、今度はカコが、お前さんくらいならダイジョブじゃろと言う。


「 今知ったことも含めてぜーんぶ綺麗に忘れられるよ、良かったね!」


「 忘れる…?
それってどういう… 」


「 だからぁ、ヤシロの寿命の話!」


自身の背中に跨って座りながらニコニコと述べる花子に光は、やめろ!と抵抗するも虚しく、彼の友だちであったミツバを例として出された。


「 うるせー!!
そんなの知るか!!」


ガッと花子の肩を掴んで、自分から押し退ければ眠ったままの寧々の前に立ち、今度こそは救ってみせると決意を顕にした。


「 俺は諦めねーぞ!
忘れてたまるか!」


「 諦めない、ねぇ…、口では何とでも言えるよね 」


「 なっ…、んだとォ!」


彼らの会話を聞いていた茜がまたもや痺れを切らし、舌打ちをしながら2人へ近付き、花子の胸ぐらを掴んだと思いきやそのまま背負い投げをぶちかました。


突然の事で受け身も何も取れずに、ズキズキと痛むおしりを擦りながら、雄叫びをあげる茜を見つめた。


「 根性論は信じないけどさ、絶対無理だなんてやってみなくちゃ分からないだろ

少なくとも諦めたヤツに望みを叶える機会は来ない、それだけは確かだ 」


彼の言葉に光は感動し、蒼井先輩…と涙を見せるも、茜の「 そうだよね、アオちゃん!!」の言葉により、その感動は消え失せた。


「 源後輩!」


「 うおっ、はい!」


突然くるりとこちらを向いて大声で名を呼ぶため、びっくりし、少し声が裏返るもしっかり返事をする光の額辺りに時計を宛てがった。


幼馴染である葵のためだけに使用してきた時計をカコが時間を戻している間光に使ってくれるとの事だった。

24話→←22話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (28 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
39人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

人参ぱんつ(プロフ) - yamiさん» お返事遅くなってしまい申し訳ありません、とても嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張らせていただきます! (2020年8月21日 18時) (レス) id: a7aebfbb6e (このIDを非表示/違反報告)
yami - 凄く面白いです!更新頑張って下さい。 (2020年7月28日 12時) (レス) id: 0abcc7321c (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:人参ぱんつ | 作成日時:2020年4月22日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。