2話 ページ3
暫く待つも、特に変化はないようだ。
もう帰ろうかと踵を返そうとした時、
「 はーあーい?」
と言う返事と共に3番目の扉が開いた…が、そこには誰もいない。
まさか本当にただの迷信だった…?
悔しい気持ち半分、ほっと一安心する気持ち半分で胸に手を当てると、後ろから肩を叩かれた。
「 こっちだよ 」
「 へ…っ!!?」
情けない声を必死に抑えつつ、後ろを振り返る。
一昔前のなのか、見慣れない学ランに帽子、少し透けて見えにくい体、地面に着いていない足、そして極めつけは寧々ちゃんの周りをふよふよ浮いていた人魂。
「 あ…あなたは…?」
「 君が呼んだんだろ?
俺は七不思議が7番目、トイレの花子さん
よろしくネ?」
目を細めて笑う彼に幼さを感じつつ、数ある疑問を飲み込んで、私の願いを口にした。
「 花子さん、私のお願い聞いてください…
私のお友だちの、八尋寧々の寿命と私、安見Aの寿命を " 入れ替え " てください 」
真剣な顔で目の前にいる少年にお願いしますと頭を下げた。
彼は私のお願いを聞いた瞬間目を見開いて薄く口を開いた。
「 …君はなんでヤシロの寿命と自分の寿命を入れ替えたいんだ?」
それにこれは簡単な事じゃないって知ってる?
と聞かれ、もちろん知ってると頷き、昔から少し変わっていた自分の能力について説明した。
そして全ての話を聞き終えた彼が発した言葉は " できない " と言う否定的な言葉だった。
「 な…んで、あなたも気づいてるんじゃないの…?
寧々ちゃんは、もう…1年もしないでいなくなっちゃうこと…!!」
「 知ってるよ、でもね、ヤシロの寿命は生まれた時から決められたものなんだ、それを覆す事はできない
だから俺には君の願いを聞くことは出来ないんだよ、ヤスミ 」
冷たく突きつけられた現実に私は絶望し、体温が一気に下がるような感覚がした。
この世界の秩序を乱すようなことは、破滅を呼ぶ危険性が高い、そんなことは分かってる、知ってる。
だからこそ怪異にお願いしたのに、怪異でもどうしようも出来ないのか…と。
零れ落ちそうになる涙を必死に食い止め、花子さんが続けようとした言葉を遮り、懇願した。
「 ……花子さん、お願いします、代償は何でも払う、お金でも目玉でも
寧々ちゃんと入れ替えた後の寿命でもいい、何でもあげるから…お願い、寧々ちゃんを長生きさせてあげたいの…
もう、怪異に巻き込まれて危険な目にあって欲しくないの… 」
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人参ぱんつ(プロフ) - yamiさん» お返事遅くなってしまい申し訳ありません、とても嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張らせていただきます! (2020年8月21日 18時) (レス) id: a7aebfbb6e (このIDを非表示/違反報告)
yami - 凄く面白いです!更新頑張って下さい。 (2020年7月28日 12時) (レス) id: 0abcc7321c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:人参ぱんつ | 作成日時:2020年4月22日 1時