40話 ページ42
動けない私を他所に車はどんどんこちらへ近寄ってくる。
このスピードで衝突すれば確実に逝ってしまう、運がよくてもきっと後遺症が残るだろう。
「 先輩…っ！！」
グッと思い切り腕を引かれ私の体は後ろへ傾いた。
暖かい何かに包まれたまま、ガタガタと小刻みに震える自分の体を見て今更ながら恐怖心を抱いていたことに気づく。
車は私たちの前を通り過ぎた後、標識にぶつかった。
運転手の人は幸い無傷だったが事故ったのが余程ショックだったのだろう、とても悲しそうな顔をしながら電話をしていた。
「 なんで…、なんで動かなかったんすか！！？
死にたかったんすか！自己犠牲もいいとこっすよ！」
私を抱えたまま光くんが怒鳴り始めた。
暖かい何かの正体は光くんだった、彼がいなければきっと私はぐちゃぐちゃになっていただろうし、彼の目の前でそれが起こることになっていた。
「 ご、ごめんね…ありがとう、光くんのおかげで助かったよ…
でもね、体が動かなかったの、車が近づいてきてるの分かってたのに…、動けなかったの… 」
先程まで自分が立たされていた状況が鮮明に浮かび上がる。
とても恐ろしくてまた体が震え始めた。
それに気づいた光くんは私を安心させるかのように頭を優しく撫でて、怒鳴ってすみません。と謝った。
「 光くんが謝る必要ないよ、こっちこそ取り乱しちゃったね、ごめん
もう大丈夫だから離してくれるかな？」
「 うわああああああ！！
すすすすす、すみません！！！！」
自分の腕の中にいる私に気づき、ぶわわわっと顔を赤くして私から距離をとった。
さっきまでかっこよかったのに台無しだななんて思いながら、またのんびりと自宅へと足を進めた。
「 私の家ここだから、また明日ね？
送ってくれてありがとう 」
玄関前でひらひらと手を振りながら光くんにお礼を言う。
帰り道気をつけるように注意すると、生意気にも、俺はA先輩と違って瞬発力いいっすから！と言われた。
今度花子くんと協力して驚か( 悪戯 )してやろうと強く心に決めた。
家の中に入り、いい匂いを漂わせるリビングを素通りし、自室へ着替えるため向かう。
部屋着に着替えて、母親に先にお風呂を済ませる事を伝えれば、りょちりょち！と頭が悪そうな返事が来たので、聞こえなかった振りをして脱衣場に行く。
髪や体を洗い終わりゆっくり湯船に浸かり、今日の出来事が夢になって出てきませんように…と願った。
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人参ぱんつ(プロフ) - yamiさん» お返事遅くなってしまい申し訳ありません、とても嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張らせていただきます！ (2020年8月21日 18時) (
レス) id: a7aebfbb6e (このIDを非表示/違反報告)
yami - 凄く面白いです！更新頑張って下さい。 (2020年7月28日 12時) (レス) id: 0abcc7321c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：人参ぱんつ | 作成日時：2020年4月22日 1時
