12話 ページ14
そんな私に、源くんが気を使ってくれたのか眩しい笑顔をこちらに向けて
「 先輩、大丈夫っすよ!
仮に何かあれば俺と花子で、あの蜘蛛野郎をぶっ潰しますんで!」
と言ってくれた。
わんこみたいだなーって思いながら、にへらと笑いかけ、ありがとうと礼を述べた。
「 そーいや、ずっと気になってたんだけど、ヤスミって何でカーディガン着てんの?
暑くない?」
唐突に聞かれた質問に、内心驚きつつも、平常心を保って答えた。
「 私紫外線アレルギーだから年中長袖なんだよね、でももう慣れたよ 」
私がそう答えた時、いきなり周りの空間がピシッと音を立てて崩壊し始めた。
その瞬間何故か私は急激な眠気に襲われて、膝から崩れ落ちてしまった。
目を覚ますと、そこは中等部の教室で、聞き覚えのある夕焼け放送が流れていた。
教室に掛けられている日めくりカレンダーには、1969年7月22日と書かれており、今自分は過去に来ていることが分かる。
何でこんな所に…と呆気にとられていると、目の前には先程依代までの道を案内していた土籠先生と…花子さん?に似た少年がいた。
少年は体中に傷を負っており、それを手当している先生は今の容姿とはだいぶかけ離れている。
「 何度も言うが俺ァ担任として、ただお前の力になりたいだけなんだよ
だから…そんな顔するな
_____柚木 」
柚木。先生にそう呼ばれた少年はしぶしぶと言った感じで治療を受けており、何故こんなに傷だらけなのか、誰にやられたのか全く話す気がないみたいだった。
包帯を綺麗に巻き、呆れたようなでもどこか柚木さんを心配する眼差しは本当に彼の事を大切に思っているからなんだろう。
「 お前は1年の頃からこうだな
怪我は減らねェ、友だちはいねェ、授業はサボる
…聞いてんのか?柚木普 」
「 土籠先生シツコイ 」
ぷいっとそっぽを向いた柚木さんに先生は、俺はお前が心配だよ。と声をかけるも、それは柚木さんには届いてないのか、ヘラヘラしながら包帯を指差し、心配ってこれ?と聞いていた。
全然ヘーキだよ、と言う柚木さんにガッと両肩を掴みながら先生は良くねェと食い気味に言った。
「 一体どんな理由でこんな風に人を傷つけて許されるって… 」
「 いいんだ!
誰も許さなくたって、理由なんかなくたって、俺が許すから 」
言葉を遮りながら言う彼はどこか寂しげな雰囲気を纏っており、少しの沈黙が2人に訪れた。
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人参ぱんつ(プロフ) - yamiさん» お返事遅くなってしまい申し訳ありません、とても嬉しいお言葉ありがとうございます、頑張らせていただきます! (2020年8月21日 18時) (レス) id: a7aebfbb6e (このIDを非表示/違反報告)
yami - 凄く面白いです!更新頑張って下さい。 (2020年7月28日 12時) (レス) id: 0abcc7321c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:人参ぱんつ | 作成日時:2020年4月22日 1時