初めまして、キヨくん【キヨ】 (ページ23)

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後ろには壁、前にはキヨくん。

この状況は、なんだ…？

「おい、小岩井、聞いてんのか？」

おーいと目の前で手を振るキヨくん、

『なんでひゅっ…』

盛大にやらかした、舌を噛んだ痛い。
すると上から聞こえてくるぶはっとキヨくんの笑い声

「お前はよく噛むなぁ…」

と頭に手を乗せられ、わしゃわしゃされる。

『(舌噛んでよかった…！)』

心から舌を噛む30秒前の私ありがとうと叫んだ。

「で」

『…？』

「練習、付き合ってくれんの？」

首を傾けながら聞いてくるキヨくん、わたしに断る理由などないが、でもバトンパスは本番する相手と練習したほうがいい。わたしにメリットはあってもキヨくんにとってはデメリットでしかない。

『でも…』

パンっと手を鳴らすキヨくん

「お前、クラウチングスタート、苦手だな？」

『…え』

あたり？と聞いてくるキヨくん

『なんで知って…』

「んー、なんかぽい！」

『ぽい…』

運動音痴に見えたってこと！？やだ毎朝走らなきゃ、サッカー練習しよう。ボール買おう。

「俺、クラウチングスタート、得意なんですけど」

小さい声で、ちょっと図々しいかな俺、と頬を掻いて言っているキヨくんを見て

『おっ、教えてください…』

とつい言ってしまった。

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