今までも、これからも (ページ16)

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初めて ① ページ16

木村拓哉視点

初めて会った時の印象は、小さくて女の子みたいだった。
幼さもありながら、どこか大人びた顔立ち。化粧など必要のないほど整っていて。
グイグイくるようなタイプではなかったが、はしゃぐ時は皆とはしゃぎ、落ち込んでいる人がいたら傍にそっと寄り添い支えることができる子。子供っぽさも大人っぽさも持っていたAは、すぐに皆に愛された。

SMAPのコンサートでも何度かバックについてくれて、テレビ出演なども多くなった。見た目も中身も良いAはすぐさま人気になり、Jrの中でも特に目立っていた。目立つ程にAは忙しくなり、なかなか話す機会も少なくなっていく。
そんな中で、俺はAの辛そうな顔や泣き顔を見たことがない。いつも笑顔だったり、真剣そうだったり。
楽しいことばかりではないだろうに。なぜそんなに笑っていられるのか1度聞いたことがある。

「よく頑張ってるな。すげーよお前」

『わ！木村くん！お疲れ様です』

「お疲れ。、、なぁ、Aさ、ちょっとは弱いところ見せても良いんだぜ？笑ってばっかじゃ苦しいだろ？」

『えっ、、』

俺の問いに目を丸くし、ゆっくり俯き動かなくなったA。
やばい、俺のせいで悩ませたかもしれないと思い、謝りながらAの肩を掴むと、Aは俺の方をまるでアイドルのお手本のような笑顔で見つめた。

『俺は、アイドルですから』

そう言い放つと、マネージャーに呼ばれたAは俺に失礼します！と言って離れていった。
いや、アイドルでも人間だろ。とか、そんなんロボットみたいじゃねーか。とか。
そんな事が思い浮かぶなか、どこか畏怖の念を抱いた。
俺はそこまでなれない。アイドルというものに全てを捧げることは不可能だ。
まるでアイドルになる為に産まれてきたようなAの存在が、それ以降脳裏から離れることはなかった。

－－－－－－－－－－－－－－

「俺、結婚するんだよ」

『そうなんですか！おめでとうございます』

想定通り。目の前にいるAは、いつもの笑顔。
好きな男が結婚してもその笑顔かよ。って、そんな嫉妬に似た感情を抱きながら、Aの手を引いて抱きしめた。

「俺、Aの事この世で1番見てると思ってるから」

『あはは、そーかもしれないっすねぇ』

「もしなんかあったら俺を1番に呼べよ。味方になるし、助けるから」

『心強いなぁ。、、でも、それは約束できないや』