瞬き流星群【HiHi Jets】 (ページ7)

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帰宅ラッシュの中

大勢のサラリーマンと一緒に電車に揺られる、

いつもと変わらない日常だった。

ホームの階段を降りたら、

『あれ、A先輩？』

なんて声が聞こえて。

私と同じ名前だ、って振り返ったら、

見覚えのある顔が

人波に紛れてこちらを見ていた。

『やっぱり！お久しぶりです！』

「え、あ、井上くん！久しぶり！」

近くで見ると、

昔よりも格段に大人になっていたその人は

ばしっとスーツを着こなして、

相変わらずの可愛らしい笑顔で声を弾ませた。

彼とは高校時代の生徒会で一緒に活動していた思い出がある。

それも1年間だけ、なのだけれど。

彼は仕事ができて優秀で、なのに真逆の私を慕ってくれる変わり者だった。

『なんか先輩、雰囲気変わりました？』

「そうかな？」

『はい、なんていうか...大人っぽい感じになった？みたいな』

「いやいや、井上くんこそ。」

『それはないですって(笑)』

もう高校を卒業したのは5年も前のことだ。

大人の色気、だろうか。

あの頃はなかったそういうものを彼は纏っている。

『先輩、この後時間あります？ちょっと飲みません？』

この後、は。

特に予定はないはずだ。

「いいね、飲もっか！」

なんて返事をして、駅からちょっとだけ歩いた、お洒落なバーに入った。

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