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淀みのない声で、淡々と告げられた。
それを聞いた心ノは、ほんの一瞬だけ泣きそうな顔をした。
だが、それも長くは続かない。
堰を切ったように、大きな声で怒鳴った。
「だから、どうしてそんなに踏み込んでくるの！関係ないでしょう！？」
一瞬だけ気迫に押されたカヲルの肩が硬直する。
いつもは静かな彼女に突然大きな声をかけられて驚いたのだ。整っていた眉毛が八の字に下がり、血色の瞳が大きく見開く。
だが、彼も負けじと声を張って返事を返した。
一歩前に踏み出し、さらに心ノとの距離が縮まった。
一音一音、ハッキリと発声された音は、確かな概念を紡いだ。
そしてそれは、たったの一言だった。
「だって、すきなんだから仕方ないだろう」
。
すきだから。
時間が止まったかのようだった。
彼も、心ノも、ピクリともしない状態で固まっていた。瞬きすらなかった。
無音だった部屋に秒針の音が戻ってくる。
それから、どれぐらいの時間が経ったのかはわからない。
静寂を初めに破ったのは、カヲルではなく、心ノだった。
あっけらかんとしたように、気の抜けたような声だった。
同時に、まるで自分に言い聞かせているかのような、縋りつくようなものでもあった。
「口だけなら、なんとでも言えるでしょ…」
心ノはカヲルの顔を見て言った。
どうせ女性の扱い方が上手いだけ。そう思っていたからだったし、事実彼の顔がそれを物語っていた。
(口だけなら)
そう、自分もそうだ。
行動も起こさずに綺麗事ばかり言う。
そしてその自分の中の矛盾を、直そうとすらしない。
カヲルに毒づいたことが、自分にも当てはまる。
そのことに気がついた心ノは、再び顔に影を落とした。
しおらしく俯いた彼女を見て、カヲルはゆっくりと腕の拘束を解く。
暴れていたのを抑えていたせいか、心ノの両手にはくっきりと手形がついていた。
彼はそれを見て、どうしようもない気持ちに襲われた。
それは人でいう『申し訳なさ』というものだったが、感情をイマイチ理解できていない彼にはまだ知らないものだった。
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アオウサギ(プロフ) - 更新お待ちしております！！！！！！！ー！ (9月7日 17時) (
レス) id: 8561e7888e (このIDを非表示/違反報告)
ゆわ(プロフ) - はじめまして。コメント失礼致します！わたしは1年ほど前にエヴァにどハマりし、また、今再熱したので占ツクで小説を探していたところこちらの作品を見つけました。はい様の文章表現やストーリーがとても好きです。続き楽しみにしております! (2023年2月16日 13時) (レス) @page31 id: 306206b07c (このIDを非表示/違反報告)
こまり(プロフ) - すごく読み応えのある作品で、一気に読み終わりました！更新お待ちしてます。 (2021年8月28日 20時) (レス) id: 92ffc05bff (このIDを非表示/違反報告)
ﾕｳｷ - 素敵な作品をありがとうございます。応援しております。 (2021年3月12日 2時) (レス) id: 7c28523323 (このIDを非表示/違反報告)
はい(プロフ) - サナさん» ありがとうございます。これから忙しくなってくるので更新が遅れるかもしれませんが、今後も読んでいただけると幸いです。 (2021年1月2日 1時) (レス) id: 573ffe8b83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はい | 作成日時：2020年12月22日 1時
