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が、そんな抵抗は虚しく再び縮まる二人の距離。
カヲルは暴れるシンジを押さえつけて、無理やり顔を自身へ向ける。まるで真偽を確かめるように彼の表情を覗き込むと、眉を潜めて呟いた。
「…嘘だね。使徒に侵食された時に、心ノに対する君の思念が流れ込んできたんだよ」
「…ッ！」
一気に加速するシンジの脈、反して彼の脳内は冷静に物事を分析し始める。
侵食…？
シンジの脳裏に使徒と戦った時の記憶が蘇る。
出撃した直後、使徒に体を貫かれた。こいつはあの時のことを言っているのだろうか。
本当にそんなことが、あるのか？
他人の思念が流れ込んでくるとか、そんな非科学的な。
思わず目線を上げるシンジ。そんな彼の視界に入るのは何処か儚げに伏せられたカヲルの顔。
彼の白い腕は心臓の辺りに添えられていて、布を巻き込む形で握り拳を作っている。それがオレンジ色のシャツにシワを作っていて、かなり強く握り締めているんだとはじめて理解した。
「…生暖かくてゆっくり締め付けてくるみたいな感じ。ねえ、これがスキってことなんだろ？」
そう言われれば、もう駄目だった。
反論するほどの気力がシンジの中に残されていなかったから。
何故ならまだ自分に「好き」と思える感情が残っていることに驚いて、ただ、この気持ちを自覚してしまったことに絶望して。
もしこんな状況で彼女まで死んでしまったら。それは好意を抱いた人間を失うことに繋がる。
そうなってしまえば、もう、生きていける気がしないと。
まるで深い谷底の淵に立たされたような気持ちになって。
臆、聞かなければよかった。知りたくもなかった。もう大切なものを作らないって。そう決めていたのに。
そして同時にシンジは思った。
こいつは、僕と同じで心ノのことが好きなのか？
もしそうならば、彼は心ノが死んだ時、どんな顔をするのだろう。
悲しむ？泣く？それとも、いつもみたいに澄ました顔をする？
もし落ち込んだりするんだったら、それこそ本当に終わりだった。今みたいに他人の死から逃れることができないから。
他人…心ノの死を悲しまない身近な人間が居なくなるから。
そうなったらもう逃げられない。現実逃避することだってできない。
そう思えば彼女の死がより一層恐ろしく思えた。
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アオウサギ(プロフ) - 更新お待ちしております！！！！！！！ー！ (9月7日 17時) (
レス) id: 8561e7888e (このIDを非表示/違反報告)
ゆわ(プロフ) - はじめまして。コメント失礼致します！わたしは1年ほど前にエヴァにどハマりし、また、今再熱したので占ツクで小説を探していたところこちらの作品を見つけました。はい様の文章表現やストーリーがとても好きです。続き楽しみにしております! (2023年2月16日 13時) (レス) @page31 id: 306206b07c (このIDを非表示/違反報告)
こまり(プロフ) - すごく読み応えのある作品で、一気に読み終わりました！更新お待ちしてます。 (2021年8月28日 20時) (レス) id: 92ffc05bff (このIDを非表示/違反報告)
ﾕｳｷ - 素敵な作品をありがとうございます。応援しております。 (2021年3月12日 2時) (レス) id: 7c28523323 (このIDを非表示/違反報告)
はい(プロフ) - サナさん» ありがとうございます。これから忙しくなってくるので更新が遅れるかもしれませんが、今後も読んでいただけると幸いです。 (2021年1月2日 1時) (レス) id: 573ffe8b83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はい | 作成日時：2020年12月22日 1時
