"自称" 陰キャは愛されたい

▽ ページ20

♡*.+



不満そうな内心が伝わったのか伊東はガラッと椅子を引いてそこに座る。さっきまで田中くんが座ってた椅子。


「……なに、碧ともっといたかったの」


もっといたかったっていうか、もうちょっと仲良くなりたかったけど。そんなこと言ったら絶対バカにされると思って黙ってる。でも、無言は肯定と捉えられてしまうから。


「Aに碧は無理じゃない？」

『……は？』

「ハードルが高すぎるな。…俺くらいがちょうどいいって」


ずっと真顔でなに言ってんのコイツ。全く意味が分からず眉間に皺を寄せて伊東を見ることしかできない。そしたら「変な顔」って笑われるから殺意しか湧かないよね。


「……で、大丈夫なの怪我は」


急に怪我の話に戻る。マイペースにも程があるでしょ……。


『全然大丈夫、もう痛くもない』

「あっそ。お前ほんと危なっかしいのいい加減自覚したら？」


分かってるけど、なんか伊東に言われたらムカつくな。「うるさいなぁ」と返せば「いやマジだから」と本気っぽい。


『……でも伊東が助けてくれるじゃん』


なんだかんだね。この前もそうだったし。それに今日だって。私分かってるよ。本当は伊東がすごく心配してくれたこと。授業が終わるや否や駆けつけてくれたこと。


「お前なぁ、」


何か言おうとしたけど続きが出てこない。何だろうと思って伊東を見ると目が合って、ため息をつかれる。これで何回目？


「……まあいいや」

『……？？？よく分かんない、』


こうやっていつも話をそらされるのが悔しくて。ため息と同時に立ち上がった彼を見上げると。


「……Aが俺のことだけ頼りにしてれば、それでいいやってこと」


不貞腐れたように、君は言うんだ。



♡*.+

お邪魔します→←▽

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す